「ワン、ツー、スリー、フォー!」とドラマー・小暮の4カウントから勢い良くスタートして歓声が上がったthe band apart。なんじゃこの音は。なんか、ドラムもベースもギターも「破裂している」という感じ。そんな中から、涼やかだけれども芯の強い荒井の歌が掻い潜ってくる。ノンストップでそのまま2曲目の“beautiful vanity”に繋いでゆくが、「ジャッ!」というコード一発で反応するファン達も頼もしい。複雑極まりない木暮のリズム・パターンだが、フロアは一面ばんばん跳ねて踊るオーディエンス。「踊れる」ということは「キャッチー」だということだ。複雑極まりないのに。さて、ここでベーシスト・原による名調子MCタイムである。「昨日忘年会で、うちの親父は西郷隆盛がすごく好きなんだ。で、友達の54-71のベースのやつがいて、こいつは勝海舟がすごく好きなんだ。お互いのことを悪く言われると、二人とも立ち上がっちゃうんだよ。何だ、とか言って。コスプレしてないけど、心のコスプレだな、と思いました」。軽快でファンキーな“shine on me”から“the noise”へとまたもやノンストップで繋ぎ、ブレイクの瞬間にはフロアから「ワン、ツー!」の合いの手が上がる。たっぷりと、とんでもない音で躍らせ、無駄な時間をことごとく排した見事な持ち時間の使い方。そして辿り着いた終盤の“Quake and brook”の美しさは、音楽なのに眩しさを感じるほどのものだった。(小池宏和)
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