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そしてGALAXY STAGE 3日目のトリに登場したのは、このバンド。複雑な曲構成、そして緻密なアンサンブルから連想するに、上半身は静謐な印象ながら、実は下半身はジャジーなリズムにグルーヴという立派な武器があるやたら熱っぽいという不思議な構造を持ったバンド。ことライヴとなると俄然クローズアップされてくるのは後者、つまりそういうことなわけです。もっとも、そんなことはすでに百も承知なオーディエンスで、GALAXY STAGEは開演前からほぼ満杯。まず1曲目は軽快な“Flower Tone”でスタートし、親密な空気作りから入る。荒井の歌うシャララ~という涼しいメロディが耳に優しいナンバーだが、ギター・ソロに入るあたりから早くもお得意の乱リズムや変態リフが顔を出し、不気味な雰囲気を醸し出していく。そのまま、捻じれたギターリフから2曲目“Game, Mom, Erase, Fuck, Sleep”へ侵入していくのだが、このあたりから原のベースも一層熱いグルーヴを帯び始め、ステージ中央に位置する川崎のアクションも激しさを増してくるなど、俄かにあっち側の世界へのトランスがスタート。さらに間髪入れずの3曲目“Eric.W”に突入する頃には、早くも客席前半分ほぼ全員が、一心不乱に手を振り上げている状態。こういう光景に場を導くまで僅か3曲。しかも、MCによる煽りなど一切なし。つまり音楽の力だけでここまで持ち込んでいるわけで、つくづく不思議な誘発力をこのバンドは持っている。

3曲やったところで、ようやく最初のMC。GALAXY STAGEいっぱいに入ったオーディエンスを眺めたところで原、曰く「年末の忙しい時に、何やってんだ、お前ら? ま、俺も含めてだけど。ま、よろしく」。いつも通りのMCで、場内に緩い笑いが漂うも、続いて登場した、新しいディスクからの楽曲“The Sun”は、場内の空気をすぐさま最初の緊迫感に戻らせていく骨太チューン。照明担当もステージを思わず真っ赤に染め上げてしまうくらいのラテン・ナンバーで、彼等の次の扉を開ける役割を担う曲だと思うが、こういう曲が何気なく登場するところも、一見静謐な彼等らしいところ。後半は“Mercury Lamp”“light in the city”“photograph”など、お馴染みの楽曲を立て続けに演奏。アンコールの手拍子にもすぐさま応じるなど、飄々とした風情の中に逞しさを垣間見せる。そんな力強さでGALAXY STAGE 3日目のトリという大役を、見事に全うしてみせた4人。最後は、原の音頭による場内一体となった一本締めで華麗に幕を閉じた。(小池清彦)