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COUNTDOWN JAPAN 12/13 クイックレポート



MOON STAGEに響き渡る「幕張ー! ハッピー・ニューイヤー!」という高らかなコール。鋭利で不敵なセンスでフラジャイルな感情と残酷な真実を撃ち放つ異能のシンガーソングライター=小南泰葉、COUNTDOWN JAPAN初登場! まずは挨拶代わりに“世界同時多発ラブ仮病捏造バラード不法投棄”をドロップ。激しくギターをかき鳴らしながら《世界に椅子はない 境界も壁もない/ゲームの主役は僕》と挑戦的に歌い放つその姿が、会場を緊迫感と高揚感で満たしていく。“ルポルタージュ精神病棟”ウィスパー・ヴォイスと悲鳴が一緒になったような歌声が、戦慄にも似た感激を巻き起こし、“嘘憑きとサルヴァドール”の疾走バンド・サウンドと競い合うようなドライブ感を持った彼女の熱唱がフロアの温度を刻一刻と上げていくのがわかる。

「みんな、あけましておめでとう!」とオーディエンスに呼びかけつつ、ミドル・ナンバー“Trash”へ。ピアノの響きと弾むビートの中、小南の歌声が広大な空間を貫くように伸び上がり、聴く者の魂へと突き刺さっていく。「去年の12月に出した『121212』というミニアルバムから……」という前置きとともに披露したのは“「善悪の彼岸」”。獰猛なほどのバイタリティと、震える心そのもののセンシティビティ――小南が持つ両極を凝縮したような、ポップにして凄絶なロック・ナンバーだ。そして、ピアノの伴奏とともに最後にひときわ美しく歌い上げたのは“12月12日”。突然この世を去ってしまった大切な人を想い、2日後に訪れたその人の誕生日に作ったというこの曲。《犯した罪も過ちも見え透いた嘘も/みんな赦すから/1・2・3で出ておいで》という切実な言葉を、ひとつひとつ丹念に歌う小南を、誰もが身動きも忘れて見つめている。曲が終わり、一礼して舞台を去る彼女に、惜しみない拍手がいつまでも続いた。(高橋智樹)