メニュー



フロアには、熱を、言葉を、心を求めている人たちが集まってきている。そう、次に現れるのはeastern youth! まだBGMが流れている段階で、ふらりと現れたメンバーに、男子から「ウオー!」と熱い声援が起こる! そして、吉野寿(Vo&G)が「ようこそ。みんな実家帰らなくていいの? 俺、北海道なんだけど、飛行機代高くてさ、毎年帰らないの。残った人は、俺の歌を強制的に聴いて下さい」と、温かくも彼らしい語り口で切り出し、「2011年、大変な年だったね。でもこうやってみんなで顔つき合わせられてさ。来年もやるしかねえ、“ドッコイ生キテル街ノ中”」と、今年5月にリリースされたアルバム『心ノ底ニ灯火トモセ』でも1曲目を飾っていた楽曲から、ライヴは幕を開ける。続いては、じりじりと吉野が爪弾くギターに導かれてはじまった“ズッコケ問答”。拳をあげる人、じっと見詰める人、オーディエンスの様子は様々だが、その誰もが熱を湛えていることはわかる。そして、イントロから「オイ! オイ!」と猛々しい声が上がった“雨曝しなら濡れるがいいさ”、「前だか後ろだかわかんなくなっちゃうね、どっちに行けばいいのかわかんない。……それでも行くしかねえもんな」という曲前の吉野の言葉に胸が熱くなった“荒野に針路を取れ”と畳み掛けていく。吉野の絶唱と、二宮友和(B)、田森篤哉(Dr)が織り成す不動のトライアングルは、今日も鉄壁だ。歌い終えた吉野が、ぽろぽろギターを弾きながら、「明けない夜はないって言いますよね。夜は必ず明けるんですよね。でも、夜明けっていうのは新しい戦いでもあるんですよね。負けるわけにはいかないですよね。来年も頑張っていこうな」と優しく語りかけ、始まったのはもちろん“夜明けの歌”。フロアのいっちばん後ろにいた男の子が、堪らないとばかりに拳を上げ出した。隅々まで気持ちを行き届かせて、彼らはライヴを締め括った。(高橋美穂)