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6度目のROCK IN JAPAN参戦となったHY。彼らほどロック・フェスの幸福を体現するバンドもいない。そのサウンドに、言葉に、醸し出されるヴァイブスに宿る多幸感と優しさは今日も健在だった。いきなり“ホワイトビーチ”から始まったライヴは、メンバーとお客さんの笑顔によって美しく色づけされていく。前半早々から新曲(ヘヴィにドライヴするギターが効いたロック・ナンバー)を披露すると、それまでのアップリフティングなノリから一転、穏やかで美しいメロウ・セクションに。ストリングス・カルテットを導入して披露された“てがみ”では新里(Vo/Rap/G)が「みんな一緒に歌いましょう!」とオーディエンスをあおり、続く“366日”では仲宗根(Vo/Cho/Key)の伸びやかなヴォーカルが広大なフィールドに澄み渡っていく。そして終盤、もうひとつの新曲(こちらはHY印の美しいメロディとハーモニーと切ない歌詞が染み渡るミッドテンポの楽曲)を経て、5thアルバム『HeartY』のメッセージ性を凝縮したアッパー・チューン“この子達のために”とライヴでおなじみの“フェイバリットソング”で最後の盛り上がりへ。ドラマティックなメロディと問答無用で踊りたくなるリズムに「フェスでHYを観る」という歓びのすべてが注ぎ込まれていた。(小川智宏)