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今年で10年目の本フェス皆勤賞アーティスト3組目は、エレファントカシマシである。今年に入って傑作アルバム『昇れる太陽』をリリースし、8年ぶりに日本武道館でのライヴを行うなど、音楽的にもセールス的にも二度目の大ブレイクを果たしたエレカシだが、どんなに人気者になってもにじみでる孤高のロック・オーラは変わらない。堂々たる歩みでステージに現れた彼らは、完璧にGRASSのステージとマッチングしている。1曲目“Sky is Blue”では演奏が中断する機材トラブルがありつつも、“ファイティングマン”、「俺は今、確かにここに生きている。と思ったことはないか? そういう歌だ」という宮本の声で始まった“ハロー人生”で、一気にオーディエンスの心をわしづかみにする。それからは彼らの独壇場で、観てるこっちは胸が熱くなったり飛び跳ねたりで大忙し。特に会場全部が打ち震えたように見えた超名曲“悲しみの果て”“今宵の月のように”にはやられてしまった。さらに、宮本が体全部でリズムを取りながら歌い上げる“ハナウタ”は、曲そのものに魂が宿っているかのような不思議な力でメッセージがストレートに届いてくる。続く「エビバディ、またでっかいことやりてえな、おい」というフレーズを挟みながらの“友達がいるのさ”にも、「不器用なやつらばっかりなんだろ、エビバディ」という呼びかけで始まった“俺たちの明日”にも、5万人ものオーディエンスが今日からちょっと元気に過ごせる勇気をもらったのではないだろうか。すっかり会場があったまった最後の最後に投下されたのは、“ガストロンジャー”! 荒々しいリズムに乗せて宮本が思いのたけを機関銃のように放ち続け、最高の余韻を残してステージを去った。今のエレカシは向かうところ敵なしということが証明されたアクトだった。(上田智子)