17:46~ 祝祭における最高の共同体の形成! ソウル・フラワー・ユニオン 8/3 19:30 UP |
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だんだんと夕闇が深くなっていく時間に野外でソウル・フラワー・ユニオンを観られるとはなんて幸せなのだろう。ソウル・フラワーのライヴとは、その場で一から共同体を作っていく作業である。そして、そのときに一番の鍵となるのはエモーションだ。その意味でこの環境は最高である。頬を横から赤く照らされて、目の前でソウル・フラワーがライヴをやるなんて、エモーショナルにならないわけがないじゃないか。 しかも、この日は大きなプレゼントがあった。メンバーがステージに出てきたときにビックリしたのだが内海洋子がいるではないか? 7月のソウル・フラワー10周年記念ライヴに参加していたのは知ってたのだが、まさか今日も来てくれるとは。そして1曲目として始まったのは“サバイバーズ・バンケット”。タテノリでもない、ヨコノリでもない、ソウル・フラワー・グルーヴとしか言えないグルーヴがレイク・ステージを包む。内海洋子の男気のあるコーラス(もちろん誉め言葉です)も、かつての通りだ。その勢いのまま2曲目の“うたは自由をめざす”に突入。あたりは至る所、両手を上げて踊っている。この曲は7月に発売されたニューアルバム『Shalom! Salaam!』の1曲目なのだが本当に素晴らしい曲だ。最近のソウル・フラワーの活動は自分たちのグルーヴの在り処がどこなのか突き詰めていく感じがしてたのだが、この曲は、そこから一旦逃れ、タイトル通り本当に自由なのだ。どこか観客に委ねてしまっているようなグルーヴなのである。 そして次に「ジョー・ストラマーの曲を1曲」というMCで始まったのは、新作にも収録されている “バンク・ローバー”。ここから“戦火のかなた”になだれ込んでいくのだが、それが最高に気持ちいい。レゲエのリズム、ゆっくりと沈んでいく夕日、踊りやすいテンポ。「ここでソウル・フラワーを観られるのは本当に幸せだと思う」とその後のMCで中川自身も言っていたが、本当にその通りだと思う。「パレスチナの空とこの空は繋がっているという曲をニューアルバムから歌います」と紹介されて始まった“そら”で、その幸せは一段と強くなっていく。ここでソウル・フラワーを観れて嬉しい。そして、みんな一緒に踊っているのが嬉しい。こういう単純だけど、どうしても沸きあがってくる感情で共同体は少しずつ出来あがっていくのだ。そして、それは“風の市”“荒れ地にて”と続いた後の“ええじゃないか”で完成形を見る。みんな好き勝手に踊っているのに、繋がっているという確信がちゃんと一帯を包んでいるのだ。もう最後の曲の“海ゆかば山ゆかば踊るかばね”は何が起こったのかさえ覚えていない。とにかく繋がっているという確信のもと、死ぬほど踊っていた、それだけだ。気付いたときにはニューアルバムの最終曲“続・うたは自由をめざす”がかかっていた。 まあレイク・ステージにいるわけだから、グラス・ステージのことはわからないのだが、きっと岡村ちゃんの復活という場はすごいものだったのだろう。けれど、その一方でこっちでもすごいことが起こっていたのだ。「そりゃ岡村ちゃんの復活もすごいけど、こっちのソウル・フラワーもすごかったんだぜ」と胸を張れる、そんな素晴らしいライヴだった。(古川琢也) |
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思い思いに踊る! |
夕空。ブルーからオレンジへの なだらかなグラデーション |
ソウル・フラワー・ユニオン のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ