なんも前置きなく、飄々と始まったthe band apartのセット。メンバー4人それぞれが卓越した演奏技術を身につけていて、それを容赦なくぶつけ合ったところで、生まれる不思議なハーモニーこそがこのバンドの本質。初のGRASS STAGEだというのに、ステージの4人はまったく“大衆”に媚びることなく、その独特に錯綜したマニアックなグルーヴを展開していく。とはいえ、彼らの複雑に交錯するアンサンブルは、その言葉が彷彿させるインドアなイメージとは裏腹に、不思議と清涼感に溢れていて、妙にポップでオシャレに響いたりもして、青空が広がる野外大ステージに実にしっくりとくる。恐らくヴォーカル/ギターの荒井の爽やかな歌声がそれに大きく加担しているんだろうけど、終始ニコニコのベースの原をはじめバンド全体からポジティヴなエネルギーの放出は絶えることない。それを受けたオーディエンスも、変拍子を恐れることなく、実に気持ち良さそうにその変則的なリズムに身をゆだねる。真夏日がもっともキツイこの時間帯にとって、MCも最小限だったということも含め、最高の心地よいパフォーマンスだった。(内田亮)
the band apart のROCK IN JAPAN FES.クイックレポートアーカイブ