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クラムボンのそよ風、ストレイテナーの熱風、そして今。レイク・ステージでは湖からの強風と共にめちゃファンキーなリフがフィールドに流れ込んできた。15:18、the band apartスタート! 1曲目“Eric.W”が早くもこれまでのレイクの空気をリセットしてしまった。ゴージャスなハイハット、柔らかなファルセット・コーラスが午後の厳しい日差しをも味方につけながら、幸せの空間を瞬く間に生み出していく。
続く“FUEL”はthe band apartの雑多な音楽性の見本市みたいな曲だ。親の敵のようにぶちのめされるバスドラといい、ハレーション起こしてるハード・リフ・ギターといい、その圧倒的な音圧の強さの傍らでチャーミングな変調メロディが足取りも軽く跳びはねている。踊って楽しいだけにしておくには惜しいほど一音一音が強力で、そしてそのアンバランスさから目が離せない。「繋ぎ目」が見えない理想のミクスチャー・ソングだ。
「今日は裏が奥田民生さんですけど、そんな中レイク・ステージにきてくれてありがとうございます。最後まで楽しんでいってください」
そうなのだ。このthe band apartといい、先のストレイテナーといい、グラスのラインナップに左右されることなしに、これだけの大観衆を集めているのだ。っていうか今日一日、これまでのところレイク・ステージは常に満員御礼に近い入場者数だ。
と思ったら、きました“Snowscape”! いきなり鳴らされた疾走パンク・ソングを受け止めてフィールドが遥か後方まで一斉に弾けた。さっきまで横ノリで踊りまくってたオーディエンスが、今は拳振り上げポゴダンスに突入している。そして“GIVE A LITTLE WHISTLE”は、ある意味the band apartの真骨頂とでも言うべきナンバーだ。小刻みかつ軽妙なフュージョンが艶やかなソウルに移り変わり、そして気が付いたら頃には激烈ハードコアに転じてしまってる。スルスルと障害物なしで変調を繰り返してるようにも聞こえるが、バキッと締めるところは締めてるから安易に勢いで流されることもない。そしてその「バキッ」とした意思が、the band apartのタイトなグルーヴを生んでいくのだ。
「日が沈んでくれ……」
太陽に向かって汗ダラダラでしかめっ面してみせた原(B)のそんな脱力MCのフェイドアウトと共に、すっと荒井の声が差し出された。“K. and his bike”だ。ひゃーっ、美しい! しかしその美しさと湿った情感を置き去りにして、音圧だけが倍々ゲームで膨れ上がっていく。いったんギアが入った彼らをもう止めることはできない。そして再び音圧が絞り込まれ、荒井のメロウな囁きで幕閉じた“K. and~”の美を、今度はゴロッと無骨な音塊が転がり出るように突き破っていく。きた、“in my room”! 2分そこそこのパンク・ナンバーの即効性もまた、the band apartの持ち味だ。
ラストは“WHEN YOU WISH UPON A STAR”。これまでの流れの中で徐々に明らかになっていった彼らの音楽玉手箱の中身が一斉に開陳されたかのような、全てがマックス値記録の大車輪ナンバーだ。うん、面白い! (粉川しの)

1. Eric.W
2. FUEL
3. cerastone song
4. Snowscape
5. GIVE A LITTLE WHISTLE
6. K. and his bike
7. in my room
8. WHEN YOU WISH UPON A STAR