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ドラムに記された“9”の文字――そう、次に登場するのは音速ライン! 今年もお揃いのRIJスタッフTシャツを着用してステージに現れたメンバー。その佇まいは、すっかりこのフェスの名物になっている。そして鳴らされたのは、7月21日にリリースされたばかりの最新アルバムから“夏色の風”。美しいアルペジオ・ギターと美しいメロディが会場全体に染みわたっていく。しかし、大久保剛(B)の「行くぞー!」というシャウトの後は、“恋の魔法”“ヒトカケ”“ロレッタ”という爆裂疾走ナンバーが連打されると、会場の空気は一転。観客からはたくさんの拳が上がる。
そしてMCタイム。「おっし、どんどん曲いこう!」と張り切る大久保を尻目に、「暑いので休みながら観てくださいね~」と、とぼける藤井(Vo/G)。この、人懐っこいキャラと攻撃的なサウンドのギャップに、いつも翻弄されてしまう。しかし、轟音のようなギター・リフと重量感たっぷりのビートが爆発するサウンドと、センチメンタルなメロディが絡み合う音速ラインのロックンロールが、暑い夏に聴くのにぴったりだということは胸を張って言いたい。その証拠に、ゆらゆらとしたメロディが感傷を誘う“逢瀬川”でも、スペーシーなサウンドがぐいぐいと突き進む“さよならユニバース”でも、SOUND OF FORESTに集まった観客は最高に笑顔だ。 音速ラインの数ある胸キュン・ナンバーの中でも特に人気の高い“逢いたい”では観客のコーラスを誘いつつ、ラスト“みずいろの町”ではザクザクとしたリフとヘヴィーなドラムで会場を掌握した彼ら。決して感傷に走るのではなく、あくまでも攻撃的なサウンドでステージを締めくくった彼らの姿に、その人懐っこい佇まいの中に隠された暑いロックンロール魂を見たような気がした。(齋藤美穂)