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「俺たち今ツアー中だから、脂が乗ってるよ!」という菅原卓郎(Vo・G)の言葉通り、ものすごいライヴだった。もう本当に、脂が乗りすぎて火を吹きそうなほど、そのライヴ・パフォーマンスは燃えたぎっていた。3年連続出演となるGRASS STAGEで、9mm Parabellum Bulletはバンドの最高潮の今を爆発させたのだった。
4人がステージに登場するなり、GRASS STAGEいっぱいに集まったオーディエンスのテンションは振り切れそうなほどヒートアップする。“The Revolutionary”で、文字通りひたちなかを9mmの世界に塗り替えると、“Survive”、“Discommunication”と新旧のキラーチューンを連発し、GRASS STAGEを完全に支配下に置く。炎天下から一点、すっかりどんよりとした雲が空を覆った時間帯だが、9mmのロックはそんな曇天空さえ蹴飛ばしてしまいそうだ。
「楽しんでいきましょう。もう終わりに近付いてるけどな」と、妙にニヒルなMCでオーディエンスに悲鳴を上げさせると、巨大なハンドクラップに迎えられた“Living Dying Message”で祭りの終わりの感傷すら粉砕していく。ギターとダンスするように激しい動きを繰り返す滝(G)、ぶっといベースラインを繰り出しつつステージをガニ股でカニ歩きする中村和彦(B)、涼しい顔をして恐ろしいほどの手数のドラムを炸裂させるかみじょうちひろ(Dr)、不敵にフィールドを見回しつつオーディエンスを煽る卓郎。よくぞ、これほど振り切れた個性同士が平気で同居しているものだ。そして、そこにこそ9mm Parabellum Bulletのコミュニケーションの本質がある。
卓郎が「自分の持っている傷の深さしか俺たちは想像できないけど、俺たちの想像力はそういう想像できないことに使いましょう。みんなに響いてほしい曲をやります」と語り、演奏した“キャンドルの灯を”には、特別な感傷が宿る。そして、そんな感傷を“カモメ”に乗せて飛び羽ばたかせると、「お前ら、何がしか花火を打ち上げに来たんだろ? これからデッカイ花火を打ち上げるぜ。行けるか? ひたちなか、行けるかー?」(卓郎)とぶち上げ、プレイしたのは“Black Market Blues”! もうフィールドは、タガが外れたような狂乱だ。「俺たちと一緒に行こうぜ、新しい光の中に!」と卓郎が語って突入した“新しい光”で、フィールドの興奮は大爆発。かみじょうちひろの散弾銃のようなバスドラが、GRASS STAGEを歓喜に撃ち抜いていく。今年のROCK IN JAPANのハイライトの一つになるだろう、壮絶で圧巻のステージだった。(大山貴弘)