ついに昨夜、『水曜どうでしょう』新作の第1夜&2夜が北海道で放送に!! ネットでも配信されたので道外の方も観ることができたほか、藤村D &嬉野DのYouTubeチャンネルでは副音声が生配信されるなど、Twitterでは「#水曜どうでしょう」がトレンド入りする熱狂の一夜となりました。そんないち早く新作をご覧になった皆さんにはぜひ、CUT2月号の表紙巻頭で展開している『水曜どうでしょう』特集をお読みいただきたいのです。
※以下、第1夜&2夜のネタバレがありますのでご注意ください!
今回の新作は、『水曜どうでしょう』の23年の歴史において新しいことずくめでした。大泉さんが新作への意気込みとして「首脳陣への三か条」をメールで送っていたこと。それを受けて藤村Dは「逆に聞きたいのこっち」だと、大泉さんに企画を考えるよう促したこと。何より、どんな企画をやるのかすら発表されないまま第1夜が終わったこと……(そして衝撃のエンディング!)。前代未聞の展開だらけだったわけですが、そこには『水曜どうでしょう』の真骨頂がありました。4人があーだこーだとトークをしているだけで、もう涙が出るほど笑ってしまう。大泉さんと藤村Dが繰り広げる台本のないスリリングなやりとり、そこで連発されるキレッキレの名言の数々(マイベスト名言は「優しい圧力団体」です)、可笑しみを最大値まで増幅させる巧みな編集――こんなの誰にも真似できない。感動すら覚える、芸術の域。たとえカブでウィリーしなくても、ドイツの道端で野宿しなくても、シカをトラだと勘違いしなくても、ただ4人が笑いながらゆる〜いトークをしているだけで最高に面白い、そのすごさを改めて思い知りました。なおかつ、『どうでしょう』を長年愛してきた人ほど、「企画発表」の様式美やどうでしょう軍団のパワーバランスをぶち壊すこの新しさが可笑しくてたまらなかったはずで、ずっと番組を続けてきたからこそ醸成された味わい深ささえもあったと思います。
さらにもっと奥深いのは、新作に対して前のめりな大泉さんとそうではない首脳陣という、今の『水曜どうでしょう』のあらましがそのまま映し出されているということです。そもそも『水曜どうでしょう』が唯一無二の番組になりえた本当の理由は、過酷なことに挑戦していたからでも、ありえないハプニングが次々と起きていたからでもなく、4人の人間ドラマをありのままさらけだしたドキュメンタリーだったからだと思います。今回の新作には、その場で起きているドラマだけでなく、4人がそれぞれの想いで『水曜どうでしょう』とともに歩む人生のドキュメンタリーもありありと描かれていました。
そんな4人のドキュメンタリーに、CUTの『水曜どうでしょう』特集では4人それぞれのロングインタビューで真正面から迫っています。大泉さんが「三か条」を伝えたかったのはどんな想いがあるからなのか。一方で首脳陣の番組に対するスタンスはどんな思想に基づいているのか。また、前作『初めてのアフリカ』に対する賛否両論を4人はどのように受け止め、今回の新作はどんな考えのもとに作られたのか。そして、「一生どうでしょう」することへの4人の想いとは――。ぜひ4人の本音を受け取ってもらえたらと思います。それにしても……第3夜が待ち遠しくて仕事が手につきません!(小林)
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