今年一番のアクション=『アジョシ』

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ポン・ジュノ監督作『母なる証明』で鮮烈なカムバックを果たしたウォンビンの徴兵→除隊のあとの第2復活作『アジョシ』がようやく今月ここ日本でも公開されるのだが、この映画、娯楽作としてはあまりにも面白い。
特にクライマックスのアクション・シーンは、もう圧巻。
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』にも通じる、静かな人生を送っていた“わけあり”な主人公が、ひょんなことに事件に巻き込まれ、余儀なく本領発揮を強いられるというタイプの映画なんだけど、とにかくそのクライマックスを含めてのアクション・シーンがどれも、それこそデヴィッド・クローネンバーグのそれに匹敵するほど、バイオレントでえげつないのだ。
ジェイソン・ボーンも真っ青っていうぐらい、とてつもない殺人スキルを身につけてる上に、最後はもう容赦しない鬼神と化するウォンビンのアクション・シークエンスは(一応、純粋な少女を救うという実に正当な理由はありますが)、もう目を見張るしかないというか、こんなにドキドキするバイオレンス・アクションは本当に久々。
しかも、短いナイフ1本でブスブスという至近距離でのバトルということだけあって、返り血を浴びまくりながら、そのイケメンっぷりがまったく崩れることないウォンビンは、申し訳ないが、男でもベタ惚れしてしまうほどカッコイイ。いや〜、本当に興奮させられる。

映画そのものも実にウェルメイドで、ポン・ジュノやパク・チャヌクやキム・ギドクほどではないとはいえ、しっかりとした“作家性”を内包しつつ、鬼才達との作品とは違い、いわゆる“韓流”的な大衆性も備えているのだ。
ベタな展開もあるのだが、そこに嫌味はまったくなく、最後までドラマとアクションを魅せることに徹底した、つまり観る者を楽しませることに徹底した映画なのである。そういう意味で、血が苦手な方も、目を覆いたくなるシーンはあるとはいえ、普通に感動できるはずなのだ。
『インセプション』や『アイアンマン2』など、強力なハリウッド映画を差し押さえて、韓国で2010年の興収トップに輝いたのがすごく納得できる。
おすすめ。(内田亮)
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