ニュー・シングル、というか、ソロとしてリリースしたことがあるの、
まだアルバム1枚だけなので、これは初のシングル、ということになる。
年末のライブの時のMCで、このご時勢に初めてのシングルを出す、
ということで、「買ってくれ!」と言い放っていた作品が、これです。
くだらないの中に/星野源
3月2日リリース daisyworld/SPEEDSTAR RECORDS
DVD付き初回限定盤と通常盤はジャケ違い。上のは初回限定盤。
「くだらないの中に」「歌を歌うときは」「湯気」、それから「ブランコ」と
「ばかのうた」のハウス・バージョン(と書いてあるけど、別に四つ打ちに
なっているわけではないので、家で弾き語りしてそのまま録ったバージョン、
ってことだと思います)、の、全5曲を収録。
今回も、やはり、どれも大変によいので、1曲ずつひとことレビューします。
1 くだらないの中に
フェティッシュ。というか、エロい。
ってことを本人は表したくて作ったわけではないだろうけれど、でもそう思う。
五感や、肉体性が、理念や思考に先行している感じ。
で、それが、人生の大切な真理に直結している感じ。
「希望がないと不便だよな」ってフレーズ、「不便だよな」っていうのが
うまいなあと思います。
2 歌を歌うときは
ライブではおなじみの曲。SAKEROCKの「インストバンドの唄」のように、
人が行動する際のルールや、作法や、倫理や、原理や、論理などについての歌。
ただ、「インストバンドの唄」は疑問を提示する形で歌われていたけど、
この曲は「結論を箇条書きにする」みたいなスタイル。
なので、さらにヘヴィ、でもストイックでピッとしてます。
あたりまえのことをあたりまえなふうに歌って、でもそれが
あたりまえじゃなくてすごく重要なこととして響く男、星野源の真骨頂。
3 湯気
1曲目と逆。理念や思考でもって、己の肉体性や自然現象を解析し、
相対化し、位置づけようとする曲である、という意味において。
ただ、なのに、「くだらないの中に」よりも、この「湯気」の方が、
せつない曲な気がする。「なのに」じゃなくて「だから」かも。
4 ブランコ
ここからハウス・バージョン=弾き語りになります。
これ、孤独や、死や、喪失や、終わりを、とても平易な、日常的な言葉で
歌う男としての、星野源の真骨頂な曲。
ただ、それらの前で途方に暮れている感じではない。
5 くせのうた
これは、1stアルバム収録曲の別バージョン。途中までアカペラ。後半も一部分アカペラ。
つまり、だいぶアカペラ。なのが、圧倒的に、いい。
しかし、この曲の歌詞、何度聴いても、つくづくすごいなあと思う。
既発曲なのでご存知の方も多いでしょうが、えー、ざっくり言うと、
コミュニケーション、人生、愛についての歌だと思います、これ。
というか、コミュニケーションとか、人生とか、愛とかに挑む人の歌だと思います。