カネヨリマサル、自身最大規模の大阪城野音ワンマンを経て向かう新たな一歩

"ガールズユースとディサポイントメント"というカネヨリマサルの曲が大好きだ。フェスやイベントでは最後に演ることが多いのだが、僕はこの曲の「ああ、いつか悲しみたちを捨てて女の子は走るのです」というサビを聴くと毎回必ず涙が溢れてくる。いい年をした男が涙とか言うと不気味なのだが、本当に溢れてくるのだ。
ちとせみなの歌声も、切ない歌詞も、琴線を揺さぶるコード進行も、そこに被さるコーラスも、スリーピースのアンサンブルも、すべてが人を泣かせるために構成されているようだ。
いい年をしたら当然日常の中で泣くことなんか無く、だからこそなのか数年前からその感覚が妙に心地良くてライブハウスやサーキットイベントでは必ずカネヨリマサルを観るようになった。彼女達がロッキング・オン主催のフェスに出演するようになってからもそれは続いている。

9月末、カネヨリマサルは自身最大規模の大阪城野音ワンマンを成功させた。結成10年の集大成とも言えるそのライブはキャリアを満遍なく俯瞰できる特別なものだったようだ。
その余韻を味わう間もなく次の一手が放たれた。全国9箇所を回る対バン「心を叫べツアー」初日の渋谷クラブクアトロ公演を観た。
Mr.ふぉるてを迎えたその初日は、立ち止まらず更なる高みを目指す彼女たちの現在が伝わってきて嬉しかった。「心を叫べ」というタイトルが何よりカネヨリマサルのライブを体現していると思う。
(海津亮)
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