“命短し恋せよ乙女”や“電光石火ジェラシー”、“青いサイダー”など、さまざまな角度から「恋心」によって生まれる爆発的な思いをパワフルなロックに乗せて歌う楽曲が多いMOSHIMOだが、“飴と鞭”はそれらとは違ったシリアスかつマイナーコードで、どこか奇妙でもあり狂気すら感じる楽曲に仕上がっている。
今作がホラー作品『闇芝居』のエンディングテーマということもあるかもしれないが、こんな表情も見せてくれるのか!と驚いた。さらに歌詞の世界観の進め方もいい。1番Bメロの《好きとか嫌いとか君には期待してないし、/それでもいいのさ/このままゆっくりゆっくり時間が流れ流されていく/渦巻くよ愛憎》という箇所──恋する女性の相手に対する諦めと、でも諦めきれないしもういいかもという葛藤、ドラマの始まりを感じさせる表現に引き込まれていく。さらに、作詞作曲を担当した岩淵紗貴(Vo・G)のウイスパーボイスも心境の奥底に触れているようで狂気を感じる。最後のサビで聞く《それでもいいのバカな私はもう/救えないDesire》はそれまでのサビと違って聞こえてきて、「欲望」におぼれていく女性の姿がわかるし、この主人公はどうなっていくのかが気になって仕方ない。
と岩淵が話していたように楽曲制作にはかなり苦労したようだが、初のアニメタイアップということで、バンドとしても挑戦的な一曲になった“飴と鞭”。そんな一曲が生まれた制作秘話からは、バンドの進化を感じられるはずです!ハッピーエンドにするのかしないのかで、ずっと悩んでいましたね。今まででいちばん歌詞で悩みました
さらに、結成10周年についての思いもたくさん聞いてきました! MOSHIMOの現在と未来をたっぷりと知ることができるインタビューになっているので、全編をお見逃しなく!(岩田知大)