彼らの名前を知っている人も少なくないだろう。 The SALOVERS。2009年「閃光ライオット」で審査員特別賞を受賞、翌年にファースト・アルバム『C'mon Dresden』でデビューを果たした4人組だ。そのセカンド・アルバム『バンドを始めた頃』がいい。 オルタナ直系の荒っぽい音はますますそのテンションと加速度を上げ、フロントマン・古舘佑太郎の言葉はますます現実を直視している。
「青春」とか「衝動」とかいう言葉が甘っちょろく聞こえてしまうほど、乾いた情動と決定的な欠落感。それを埋め合わせるのはバンドしかないし、ロックしかない。 『バンドを始めた頃』というタイトルから感じるロマンティックなイメージはここにはない。ここで歌われているのは「バンドを始めなければどうしようもなかった」という必然だけだ。だから迫力が違う。 なぜこんなに荒々しい音で、こんなにささくれだった情景を鳴らさずにはいられなかったのか。ちょっと大げさにいうなら、ロックの存在意義にリーチする才能だと思う。 4月30日発売のJAPANに記事を掲載する。ひとりでも多くの人に少しでも早く出会ってほしいバンドだ。
実際に会った古舘(右から2番目)は朴訥とした男だったが、言葉の端々に確かな意思を感じさせる語りかたが印象的だった。(小川)