ほぼすべてのメロディが、峯田の絶叫と激しい呼吸の間隙を縫うように、ちゃんと自分のなかで再生され続けることに感動しながら観ていた。
時には峯田の声と並走するように、時にはのたうちまわる峯田に降り注ぐように、あるいは彼を包み込むように、野太く熱くそして優しい合唱が武道館にはずっと鳴り響いていた。
銀杏BOYZが人生のある時を支え彩ってきたというリスナーはたくさんいるだろう。
そんなすべてのリスナーのすべての生き様が刻まれたとんでもなく巨大な合唱だった。
自ら歌いながら心地好さそうに合唱を聴いている峯田の表情が印象的だった。
メロディと言葉と歌、ノイズとビート。
たったそれだけの要素が一万人にとっての人生そのものを映し出す、走馬灯のような3時間。
あまりに深く、強烈な、誰もが無傷ではいられないほどに本質的な何かがあぶり出されるような3時間。
時間の流れが狂ってしまったように、あっという間で、濃厚かつ長大な3時間だった。
小雨が降る九段下の坂を抜けながら、峯田が書くメロディは本当にかけがえがないな、名曲だらけだな、とあらためて思った。
素晴らしい初武道館だった。