2009下半期ベスト 第8位

2009下半期ベスト 第8位

2009年超私的ベスト・アルバム、下半期編、第8位はVolcano Chiorの『Unmap』。

この作品を選出したのは、とにかくここ1~2年のBon Iverの充実ぶりを嫌というほど伝えるアルバムであるということと、ここ5~6年のアメリカン・フォークがどのような極みに至っているかを端的に示したアルバムであるということからだ。
後者についていうなら、なにゆえアメリカにおいてフォークがこれほどリアルでシリアスな表現へと加速度的に昇華したのか、その理由については、「アメリカが戦時中である」という、かつてのベトナム時代を彷彿させるパラレルな歴史観があると思う。たとえば、ローティーンで「大きなビルに飛行機が突っ込むところをテレビで観た」ロビン・ペックノールドが、後にFleet Foxesを結成する背景にある逼迫感が、現代のフォーク・ミュージックをかつてない凄味へと駆り立てているようなことだ。
絶望でも、反対に癒しなどでも決してない、ひたすらに粛然とした気持ちに聴く者を立たせる作品である。
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