M.I.A.「Born Free」で叩き起こされる

中村ブログに叩き起こされる。いや、実際にはM.I.A.の新曲に叩き起こされたのだけど、同じことかも。このM.I.A.の新曲「Born Free」を聴いたひとなら、とりあえずそこらにいる周りのひとを叩き起こしたくなると思うからだ。いや、もともとNY中村明美はひとを叩き起こすから・・・それはともかく。

この「Born Free」は、おそらくニュー・アルバムからの「リード・シングル」といったものではないだろう。「リード・シングル」に要求されるような、アルバム中もっともラジオ・フレンドリーで、ポップな曲、ではないはずだ(アルバムを聴いてないからわからないけど)。だけど、この「Born Free」は、語句本来的な意味で「リード・シングル」、ということなのかもしれない。それは、M.I.A.のネクスト・メッセージはまさしく「Born Free」で、つまり、パンクだということだ。

お金はいらない、だってまあ、あるし。みたいな「自身の確認」の繰り返しは、ブルーズの昔からロックの常套句であり、時代を経て、パンクによって奪還された「認識術」だ。自分は何だ? 世界はどうだ? 簡潔な言葉で自分と世界を断定する、その直感の鋭さとエネルギーが、ロックの根本原理といっていい。そしてM.I.A.は、その根本原理のさらに大元にあるのは、「ワタシは生まれた、自由なものとして」という場所を確認する。確認する、というか、ほとんど怒りをもってその言葉を吐く。なぜなら、現実はそうじゃないからだ。

まったく解決の糸口とはなっていないにもかかわらず、「ワタシは自由だ!」と叫ぶこと。飢えて死にそうになっている子供の目の前で、自由を叫ぶこと。そんな光景はオカシイし、シュールですらあるかもしれない。しかし、多くの「問題の善処」は、そうした無謀な「自由」の連呼によって広げられた、意識の変革によってもたらされたことをわれわれは知っている。

そもそもM.I.A.は、パンクである。だから、彼女にとっては新しいメッセージでもモードでもないかもしれない。しかし、その表現を、彼女はここで、「むき出し」にした。パンクであるM.I.A.によるパンク。アルバムはどうなっているんだ??
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