ブルックリンの男女2人組、Sleigh Bellsのファースト・アルバム『Treats』。聴いた。凄い。これは、誰もがその耳に押し込んでいるiPodの小さなスピーカーを吹き飛ばしてしまう簡易爆弾であり、誰もがなぜいままでこのようなとてつもなく単純なアイデアを実行しなかったのかと地団駄を踏む画期的音楽であり、したがって、もし誰もがこの音を聴いて踊りだしてしまうと、確実に世界の風景が一変してしまうのではないかと興奮をもって妄想させてしまうような時代性を有している。凄い。
Sleigh Bellsの音楽は、基本的にワンパターンしかない。チェインソーのようなグラインダー・ギターと絶叫。そして、そのまったく反対に、単音の可憐なシンセ・メロとバブルガム・ポップを口ずさむガールズ・ボーカル、である。割れてしまった低音のリズムの上に、そうしたものがすっかすかに配置され、まるでいくらでも量産されていくような気配すらある。
まさに、その構造が問題なのである。その設計から生み出されたどの曲も、レディー・ガガの占拠するポップ・チャートに易々と侵入してしまいそうな可能性と、プロディジーの荒れ狂うフロアをさらに沸騰させてしまいそうな危険性の両方が実装されているのである。なんちゅうことだ。
「Crown On The Ground」「A/B Machines」「Tell’em」「Infinity Guitars」、少なくともこの4曲はぜひ体験してほしい。こちらから試聴。
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