1)まずはフジロックに出演するイヤーズ&イヤーズ! まさに今時のエレクトロ・ポップ・サウンドを鳴らすバンドだが、そのパフォーマンスがフェスにぴったり! この日は虹色のファッションで登場したけど、ヴォーカルのオリーがあまりに愛らしいキャラで、幸せのエネルギーを放出しまくるのだ。一瞬にして観客が笑顔になり、合唱し、飛び跳ねまくる。フェスを愛で満たされた空間にしてくれる、欠かせない存在だった。
2)エル・キング:サマーソニックに出演する彼女。様々な意味で強烈! その声も、パフォーマンスも、キャラも。ブルースやカントリーをベースにしたサウンドでありながらも、例えば会場が大合唱となった“エクシズ・アンド・オーズ”などの響き方はモダンなポップ・ソング。「うざい元彼がいる人手を挙げて~!」など、その語り口においても観客を巻き込んでいき、誰もが共感することを歌っていながらも、他の誰とも違う彼女の強烈な核みたいなものがあるのが面白かった。そのすべてをミックスしながら、唯一無比な存在になっていた。
3)大雨のハイム:3日間行われたフェスの2日目は、とにかく他の日とうって変わって若い女子女子女子だった。しかもみんなストレート・ロング・ヘアで、超ショートパンツ。ハイムな女子だらけだったのだ。それなのに! よりによってハイムの時に大雨。しかしステージの屋根のある所からわざわざ外に出て、自分達がずぶ濡れになってから演奏を開始し、女子達が大感動。いつも思うけど、最悪の状況の時のほうがアーティストってスゴいパフォーマンスを見せる。この日は彼女達が真のエンターテイナーとしての力を発揮していた気がする。メイン・ステージのトリからひとつ前での演奏だったけど、次に出る時はヘッドライナーにもなれるかもというパフォーマンスと人気。これから完成となる新作がすでにもの凄い作品になっている気がするライブだった。
4)奇跡的に雨が止んだキラーズ:ありえないくらいの大雨で、頑張ってハイムを観た人達もキラーズは観ないで帰ってしまうかも思っていたら……なんと奇跡としか思えない、キラーズが始まる1分前に雨がぴたっと止んだのだ。なんという神懸かった状況。しかも、ブランドンはさすがヴェガス出身、根っからのショーマンなので、そのドラマチックなシチュエーションを最大限に活かして、出し惜しみなしのヒット曲連続で、フェスのヘッドライナーってこういうものだろうという最高のライブを披露してくれた。会場をひとつにまとめあげる大感動をもたらしてくれたのだ。昼間はバラバラのステージを見ていた何万人もの人達が、昼間のことは一瞬で忘れ、一体になる瞬間。フェスの醍醐味って正にこれ。ありがとうキラーズ!と言いたくなるようなライブだった。