とうとう大統領選投票日。女性票が決め手か?ビリー、オリヴィア、ガガ、ビヨンセ、カーディ、リアーナからスティーヴィー・ニックスまで女性の権利のために投票して欲しいと最後の訴え。

pic by Parkwood Entertainment

11月5日はご存知のようにアメリカ大統領選挙だ。前回もそうだったが、今回も、史上最高の接戦と言われていて、NYタイムズが、最後に発表した世論調査でも、民主党、共和党候補が、同じ48%となっていた。

しかしマイケル・ムーアは、「この世論調査を信じるな。今回の選挙を動かすのは女性だ」と言っている。通常選挙はそれぞれの経済状況が最も影響すると言われているけど、アメリカの最高裁が中絶の権利を覆したことで、現在アメリカの13州で中絶が違法。アラバマ、ケンタッキー、テキサス、サウス・ダコタなどだが、レイプや近親相姦による妊娠でも違法なのだ。そのためムーアは「中絶の権利を奪われた女性達が、ガソリン代が上がったからその方が問題と支持者を決めるわけがない」と分析している。「トランプはもう終わっている」とまで。
https://x.com/MSNBC/status/1588501429936865280
女性アーティスト達も、女性の権利のために投票して欲しいと直前の訴えをしている。

●ビリー・アイリッシュ:「あなた達の声と投票が意味がないなんて、誰にも言わせないで!!カマラ・ハリスに投票して」とインスタにコメントし、ライブ中に「すごい怖い時だよね。とても大事なことが危機に晒されているから。でも、今ここにいて私をサポートしてくれているなら、女性をサポートするということだと思う。だから、カマラ・ハリスに投票して欲しい」と語る映像を投稿している。

ビリーとフィニアスは、中絶の権利の他、地球のため、そして民主主義のために、早くからカマラ・ハリス支持表明をしていた。

●リアーナ:「息子のパスポートを使って、投票所にこっそり入ろうとしているところ」(リアーナはアメリカの市民権は取ってないということ)という映像をインスタに投稿。
「その1票で、プッシーを守ることと、プッシー(ダメ男)を辞めさえることが、1度にできるんだよ」とコメントしている。

●オリヴィア・ロドリゴ:インスタに中絶の権利を訴える活動家のHadley Duvallとの対談映像を投稿。
https://x.com/DailyRodrigo/status/1852855115528728840
Hardley は、5歳の時から義理父に性的虐待を受け、12歳で妊娠。当時はケンタッキー州では中絶できた。だけど現在はケンタッキー州は、レイプでも近親相姦でも違法。
「私は、Hardely Duvallと彼女が受けた性的虐待について、そして自分の体や自分の未来を自分で決める自由があることの大事さを話す貴重な機会を得た。彼女の話こそ、今回の選挙が大事である理由だと思う。ドナルド・トランプに投票することは、全米で中絶が禁止となることを意味するから。カマラ・ハリスに投票することは、自分の妊娠、中絶の自由を手に入れることを意味する。自分の声を使って、投票して欲しい!」

オリヴィアは、2022年に最高裁が中絶の権利を覆した際、ちょうどグラストンベリーに出演し、覆す投票をした最高裁判事の名前をステージで読み上げて、「あなた達は自由の権利なんてどうでも良いと思ってる。大嫌い」と言った。「このせいで女性が亡くなったりしてしまう」
https://x.com/DailyRodrigo/status/1540769280316153858
それで、リリー・アレンと”ファック・ユー”をその判事に捧げて歌った。オリヴィアは、アメリカツアー中も各地で、中絶の権利の支援する団体に寄付をしていた。
https://x.com/lilyallen/status/1806125494515167306
●レディ・ガガ:投票前日に、接戦州で最も大事と言われているペンシルバニア州フィラデルフィアの最後のラリーに出演。”God Bless America”と”Edge of Glory”を熱唱。「この国の歴史の半分以上の間、女性は意見を言う権利もなかった。それでも女性は子供達を育て、家族を団結させ、決定権を持つ男性をサポートしてきた。だけど、明日、女性達は、決断する側にいる。そして今、私はどんなに過酷でも諦めなかった女性達のことを思っている。彼女達のおかげで今の私がいるから。私は、全ての人達、全てのアメリカ人の大統領になってくれる人に投票します。明日、自分の意見を必ず聞いてもらいましょう」
https://x.com/KamalaHQ/status/1853656286744723827https://x.com/ladygaganownet/status/1853670511412146355
●テイラー・スウィフト:”The Eras”世界ツアーのアメリカでの日程が全て終了し、感謝の投稿。その中で、「念のための重要なお知らせ。明日はアメリカの投票日で投票する最後のチャンスです」とコメント。

テイラーは今回の選挙で支持表明が最も待たれていた人物と言って過言ではないが、大統領の最初にして最後の討論会の直後にハリス支持を表明し大きなニュースとなった。

ここで自分で候補者についてリサーチすることの大事さや、トランプがAIを使ってテイラーがトランプ支持かのような投稿をしたのを見て、自分が支持表明をはっきりさせる必要があることなどを語っている。
「私は、2024年の大統領選で、カマラ・ハリスに投票します。私がカマラ・ハリスに投票するのは、彼女が、その権利のために戦士となって戦ってくれるような人だと思うからです。彼女は、リーダーとして才能のある優れた統率力がある人だと思うからです。カオスではなくて、彼女のような落ち着いた人がリーダーになってくれれば、この国には達成できることがたくさんあると思うのです。さらに、彼女が、副大統領候補に、ティム・ウォルツを選んでくれたことにも、感動しました。彼は、LGBTQ+の権利のため、IVF、女性が女性の体について決める権利のために何十年も立ち上がってくれていた人だからです。

私は自分なりにリサーチして、誰に投票するのかを決めました。あなた達も自分でリサーチして、自分で決めてください。

愛と希望とともに。

テイラー・スウィフト
子供がいない猫好き女より」

最後に「子供がいない猫好き女」と書いたのは皮肉で、共和党副大統領候補が、「子供がいない猫好き女性が、自分の人生が惨めだから、惨めな決断をしようとしている」と言ったため、猫好きで有名であり、子供がいないテイラーがそれに反発したということ。

●ビヨンセ:テイラー・スウィフトと並んで支持表明をアメリカ中が待っていたビヨンセ。テキサス州で行われたラリーに遂に登場し大騒ぎとなった。

pic by Parkwood Entertainment


「私はセレブリティとしてここに来たのではありません。政治家としてここに来たのでもありません。
私はここに母として来ました。

子供達がこれから生きていく世界をとても心配する母として来たのです。
そして、私達が自分達の体をコントロールする権利を持つ世界のために。
分断のない世界のために。
私達の過去と未来をひとつにするために、ここに来たのです。

娘達が、何の限界もない世界を生きられることを想像してみてください。
歴史的な日々を目撃して来た私達の祖母が、今ここにどんな気持ちでいるか想像してみてください。
そして今はもうここにはいなくても、犠牲となってきた人達を想像してみてください。
彼女達がいてくれたおかげで、私達が女性の強さを目撃できたのです。
自分達の力に威厳を持って来た人達がいてくれたおかげで。

ここでリーダーシップとは何なのかを再び想像しなくてはいけません。

そのために、これを見ている男性と女性の皆さん、私達には皆さんが必要です。
あなたの声は、力があり重要なのです。
あなたの一票は最も価値のある方法なのです。
だからあなたが必要なのです。

あなたの自由は、神に与えられた権利であり、基本的人権です。

テキサスは、未来の行く道を変える極めて重要な役割を担います。

テキサスに住んでる全ての人は、
この歴史的な瞬間を現実にする役割を担っています。
より大きなもののために参加しているのです。
だから投票しなくてはいけません。
あなたが必要なのです。

新たな歌を歌う時が来ました。
248年前に始まったこの歌は。
かつては、失墜の音を鳴らし、不協和音があり、絶望の音を鳴らしました。
でもそれにはもう共鳴できません。

愛すべき我々の前の世代が、予言を、探求を、使命を、そしてアンセムを囁いてくれました。
今のこの瞬間は、
アメリカの新たな曲を歌う時なのです。

私達は団結の歌を歌います。
威厳と機会の歌を歌います。

だからあなたもこの新たなアメリカの歌を一緒に歌ってください。
私は歌います。

だからみんなでやりましょう!」
pic by Parkwood Entertainment
ビヨンセの曲”Freedom"は、ハリスキャンペーンのテーマ曲として、真っ先に使われ、母をテーマにした広告にも使われている。

●カーディB:ウィスコンシンのラリーに登場。カーディは今回に限らず政治に関して常に鋭い意見をSNSで発信している。
https://youtu.be/-XINcrcvrMU?si=2CjmnbNiNHAvVN4f
「カマラ・ハリスと同様に、私もずっと実際の価値より低く見られてきました。
成功しても、過小評価され、認められませんでした。

言っておきたいことは
女性というのは10倍努力して、10倍良い仕事をしても
一体どうやってトップまで行ったのかと疑いの目で見られたりすることです。
いじめには耐えられませんでしたが、カマラと同じように私も自分のために立ち上がりました。

正直に言って、今年は投票しないつもりでいたのです。
でも、カマラ・ハリスが立候補したので、気持ちが変わりました。
彼女が立候補するまで、どの候補者も信じていなかったのです。
でも、彼女が私が言って欲しいことを言ってくれました。
この国の未来について願うを」

「トランプが”女性を守る”と言いましたが、それは、自由に選ぶ権利を意味しているわけではありません。
彼の言う”守る”は、娘達が、母よりも権利を持っていないことを意味していて、
そんなもの私はいりません。
トランプがハスラーだということは分かっています。
でも、女性の体や権利を使おうとするのは、酷いことです。

この人に本当に経済を任せられますか?
自分だけ金持ちになって、金持ちの友達の税金を免除する人です。

彼が私達に売ろうとしているのは、偏見であり、女性差別であり、分断であり、カオスであり、混乱です。
それがあなた達の家計にひびきます。同等の権利や、健康保険制度、そして自分で持っていると思っていた自分の体の権利が奪われることになるのです。

ドナルド・トランプの2度目の機会を与えてはいけません。
自分の未来を危険に晒すわけにはいけないのです。
それは私の子供達の未来なのです。3人も子供がいるんですから。

私はカマラを支持します。
彼女を信じています。
そしてアメリカの皆さんも、火曜日に投票してくれると信じています。

ページをめくりましょう。みんなで勝ちましょう」

●スティーヴィー・ニックス:「人生で後悔していることはほとんどないけど、これまで投票しなかったことを後悔した」と語り、今回は投票すること。誰が当選しても、中絶の権利を取り戻さなくてはいけないと語る。「中絶の権利を得る自由のために投票する。権利を奪われてはいけない」とコメント。

新曲の”The Lighthouse”は、「中絶の権利が覆された後数ヶ月後に書いた曲。それに対して何ができるのかと考えた時に、私にできることは曲を書くことと思ったから」

「これは自分がこれまでにやった最も大事なことかもしれないとすら思った。アメリカの女性のために立ち上がること。娘達のために、孫達のために。そしてそんな女性達を愛する男性のために。

これはそのためのアンセムなのです」

スティーヴィー・ニックスは1979年、当時付き合っていたドン・ヘンリーとの間に子供ができたのだけど、中絶。「もしあの時中絶していなかったら、フリートウッド・マックは間違いなくそこで終わりだった」とガーディアン紙に語っている。
https://www.theguardian.com/music/2020/oct/14/stevie-nicks-on-art-ageing-and-attraction-botox-makes-it-look-like-youre-in-a-satanic-cult

アーティストの支持表明がどれだけ投票に影響するのかという記事はいくつも出ていて、NYタイムズの調査では結局よく分からない、という結論だった。ただ、アメリカで投票するために事前に登録しないといけないのだけどその登録数が、テイラーなどの発言により、急激に伸びているのは間違いない。さて結果どうなるのか?震えながら待ちたい。
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