タランティーノ新作1位!!!

タランティーノ新作1位!!!

先週の"District 9"に続いて、週末長蛇の列を作っていたのはタランティーノの新作”Inglourious Basterds"!劇場は1時間おきにいくつものスクリーンを使ってフル回転で上映していたのに。というわけで週末の興行成績目出たく1位となった。しかも、タランティーノ映画としても過去最高の興行成績を記録!


タランティーノ曰く「第二次世界大戦、戦争映画のスパゲティ・ウェスタン解釈」というこの作品は、まったくのフィクションで、その他のタランティーノ作同様、コメディであり、思い切りバイレントであり、サディスティックなハイブリッド戦争映画、テーマは当然リベンジ!である。タランティーノ・ファンなら大満足だが、1位を簡単に獲る作品とは言えない。立役者は、ブラッド・ピットだろう。映画の看板として、PRで大いに活躍したと思う。


今週読んだ記事に書いてあったが、この夏は、ハリウッド・スターを看板にした作品がちっとも当たらず、”ハリウッド・スター神話の崩壊か?”と言われていた。また、別の記事では、タランティーノ映画をプロデュースしたワインスタイン・カンパニーがあまりに長い間ヒット作がなくて、瀕死の状態にあるとも。ブラッド・ピットは、この1作で、そのふたつの救世主となったわけだ。


さらに素晴らしいのは、映画の中では、彼はあくまでおいしい脇役で、この映画の真の主役は、無名のオーストリア俳優クリストフ・ヴォルツであるということ。俳優としてはオスカー・ノミネーネーション一番乗りと言ってしまってもいいのではと思う。タランティーノは彼の演じた役を「自分がこれまで書いた役の中で最高で、恐らく今後もこれ以上の役は書けないかもしれない」とすら言っている。が、そのためいくらオーディションしても「僕の詩を理解してくれる俳優がいなかった。誰も演じられない役を書いてしまったのかと思った」くらいだったそう。もちろん、クリストフを見付けるまでは。ブラピ演じるナチス兵/ヒットラー殺害を計画するアメリカ人兵”バスターズ”のリーダーに敵対するSS大佐であるこの役。とにかく銃をぶっ放すというのではなくて、穏やかに敵の懐に入り、冷静沈着/にこやかに礼儀正しく尋問しながら、異様に頭の回転が早く、何か国語も流暢に話し、最終的にはその言葉を最大の武器にして敵を射抜く。一流のサディストだ。それに比べたらブラピはチャーミングというかお茶目とすら言えるかもしれない。その対比がいいのだが。もちろん銃をぶっ放すシーンの中にも、芸術的快感を覚える場面もあり。


日本公開は11月予定です。お楽しみに!
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on