TIME誌がこの10年で初めて表紙にした現役作家


TIME誌の最新号の表紙が作家のジョナサン・フランゼン。TIMEが現役の作家を表紙にしたのはこの10年で初なので、それだけで大ニュースになっている。これまで表紙になった作家は、サリンジャー、ナボコフ、トニ・モリソン、ジョージ・オーウェル、ジョン・アップダイクなど。最後に表紙になったのは、2000年のスティーヴン・キングだそう。
http://www.time.com/time/covers/0,16641,20100823,00.html


ジョナサン・フランゼンは、2001年に発表された3作目の長編『コレクションズ』にてアメリカを代表する現役作家と称され、センセーションを巻き起こした。もちろん私も持っているが、さっき見てみたら、1ページも読んだ形跡がなかった(笑)。しかし、表紙と本体が逆になっていたので、読もうかな、とは思ったようだった……。


そんな彼の新作『フリーダム』が間もなく発売されるのだが、どのレビューを読んでも「傑作」と断言している。NY TIMESも書き出しが、「ジョナサン・フランゼンの最新作は前作『コレクションズ』と同じだ。アメリカ文学の傑作である」と。
http://www.nytimes.com/2010/08/29/books/review/Tanenhaus-t.html


TIMEの表紙文字だけ引用すると、「彼は長者番付に名前が載るわけでもなく、超有名というわけでもない。彼の描く主人公達は、ミステリーを解決することもなければ、マジカルなパワーを持っているわけでもなく、未来に住んでいるわけでもない。しかし、彼の新作『フリーダム』には、我々の今の生き様が描かれているのだ」と。さらに記事を読むと、「ましてや人を噛んだりもしない」と書いてあって、電車で読んでいて笑ってしまった。もちろん最近のヴァンパイア・ブームにかけているわけですが。ここに描かれているのは、前作同様アメリカの郊外ありきたりの家族を主人公した、「21世紀の小説というよりは、19世紀の小説である」。しかし、「その家族が、異様な力と深さで描かれているのだ」ということ。先週夏休みを取ったオバマが、本屋さんに行って、まだ発売されていない『フリーダム』の見本版を売ってもらったことでも話題になっていた。


『コレクションズ』も『フリーダム』も500ページ以上の長編である!Twitterで書くと何万回分?……わかりませんが、人類の反撃(笑)。表現がどんどん長く、激化しているような気がする。ガガに習え。


『コレクションズ』は、日本でも新潮社から翻訳発売されたようですが、残念ながら絶版のよう。アマゾンに感想を書いている人のコメントを読んだら、落ち込む一方だし、だらだらしていて全然好きじゃなかったと書かれていた。確かに、そう言ってしまえばそういう内容なのかもしれない。まだ読んでないけど。
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