ルー・リードがカニエの新作を大絶賛。「違う星の人のレベル」
2013.07.03 08:43
ルー・リードは、カニエ・ウェストの元々ファンだったそうですが、カニエの最新作『イーザス』をThe Talkhouseにてレビューしていて、しかも大絶賛しています。かなり長文のレビューなのですが、さわりの部分だけ訳すと以下の通りです。
http://thetalkhouse.com/reviews/view/lou-reed
「カニエ・ウェストは、ソーシャル・ネットワークとヒップホップの申し子にして、あらゆる種類の音楽とポップ・カルチャーを熟知している。だから彼は非常に幅広いパレットを持っていて、それが『イーザス』の隅々に表れている。最高に美しく偉大なる瞬間がこのアルバムにはある。部分的には、昔からあるようなものもあるけど。でも、この男は、本当に、本当に、本っ当に、才能がある。しかも、自分でそのバーを高くしようとしている。誰も彼のやっていることのレベルには到底追いつけない。彼はもはや僕らと同じ星の住人ではない。
このアルバムはミニマルだと言われていていて、確かにミニマルだ。が、部分的には、むしろマキシマムである。例えば、”Blood on Leaves”を見てみれば分かるけど、ここでは本当にもの凄く色々なことが起きている。ホーンに、ピアノ、ベースに、ドラムにエレクトロの効果。しかも、それに不随したリズム。曲の終わりのほうになると、ソニックの素材は2倍にもなっている。しかも、カニエ自身が動くわけではなくて、彼の周りにサウンドを山のように築き上げてみせるのだ。そういう凄まじい作業がこのアルバムを作るために行われていて、それぞれの曲は、ほとんど映画を1本作るほどだと言える。
というか、実際このアルバム全体が映画かまたは小説のようで、それぞれの曲は次の章へ切れ間なく続いていく。それぞれの曲が、1曲ずつどかんと座っているというようなものでないんだ。
しかも、彼は、曲の中で、変化がないかと思われるような部分を作っておいて、と思った瞬間に、突然”バン!バン!バン!”とすべてを崩壊するようなことをやってみせ、まったく新しいサウンドを鳴らすんだ。そして、それが本当に最高なんだ。その構築の仕方と構造と言ったら、この男は、あり得ないくらい頭が良いとしか言いようがない。そうやって、バランスを崩すようなことをやり続けるんだ。あるサウンドを積み上げながら、それを突然取り除いてみせる。場合によっては、まったくの無音状態にしたりもする。そしてそこで突然スクリームをしてみたり、またはあり得ないくらい美しいメロディを鳴らしてみせたりする。そうやってまったく予想外のパンチが飛んでくるんだ」
というわけで、この先にも、一般的には問題視されている歌詞や、それぞれの曲のどこが素晴らしいのかをこと細かに分析しています。本当に大絶賛のレビューです。
カニエ・ウェストの新作『イーザス』の日本盤は7月10日の発売です。