セクスタイルをCIRCUS TOKYOで目撃!

セクスタイルをCIRCUS TOKYOで目撃!

ポストパンクを軸に、インダストリアル、サーフパンク、サイコビリー、アンビエントといった多様な要素を取り入れ、ハードコアの可能性を拡張し続けるセクスタイルがついに初来日! 4月2日、主催のSUPPERFUZZによって実現した東京公演を観てきた。

初来日ながらフロアのキャパシティを超える観客が詰めかけ、階段までも埋め尽くす熱気のなかで開催された今回の来日公演。90年代レイヴの攻撃性とインディスリーズのノスタルジーを融合させた単独公演は、オーディエンスを終始熱狂の渦へと巻き込んでいった。その全貌を完全レポート!

オープニングを飾ったのは、キャリア初期のEP『3』に収録された“Disco”。Dopplereffektを彷彿とさせるダークなテクノサウンドと、インダストリアル由来のノイズがミニマルに交錯する一曲だが、ライブではその佇まいが一変。Brady Keehnの爆発的なシャウトによって音源とはまったく異なるアプローチで再構築され、完全にライブ仕様のナンバーへと生まれ変わっていた。

続く2曲目には、来月リリースされる最新アルバム『yes, please.』からの先行シングル“Freak Eyes”を披露。90年代レイヴの陶酔感を思わせる電子音と、フィジカルに響くアコースティックドラムが融合した強靭なダンスチューンだ。オーディエンスも抗いようのない熱波に体を委ね、この日の前半ハイライトとも言える盛り上がりを見せた。

さらに特筆すべきは、4曲目に演奏された“Lost Myself Again”。ドラムンベースのテンポに乗せて、獰猛なギターとドリーミーなシンセが交差するこの楽曲は、ブライアン・イーノやザ・クランプスからの影響を公言する彼らなりの、鋭くも愛情に満ちた回答のように響いた。

“No Fun”や“Hazing”といった、粗暴でありながらどこか懐かしさを宿すダンスナンバー、そして“Kids”や“Ressist”といった未発表の新曲群も惜しげなく披露され、フロアの熱は冷めることなく、アンダーグラウンドな狂騒はフィナーレまで続いた。

そんな中で特に印象深かったのが、終盤に演奏された“Current Aftair”。DEVOを思わせるニューウェーヴのテイストにサーフロックの軽快さを掛け合わせ、そこにメディア批判という鋭いメッセージを乗せた一曲は、彼らのシニカルな一面と遊び心を象徴するような異色のキラーチューンだった。

爆発的なエネルギーの中に宿る確かな知性。フィジカルとブレインが絶妙なバランスで同居する、まさにセクスタイルらしい一夜だった。
4月5日に渋谷clubasiaで開催されるレイヴイベントにも出演が決定しているので、気になる方はぜひ足を運んでみてほしい。(北川裕也)
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