フジロックでベックを観る

フジロックでベックを観る
ニューヨークの中村さんから、今のベックのライヴは最高だと聞かされていたので、とても楽しみにしていた。
そして実際のステージは期待を超える素晴らしいものだった。
最初から代表曲の連打。しかも凄いハイテンション。そこから白いスーツに着替えてのアンコールまで、もの凄い勢いでベックは走り抜けた。新曲から感じられる攻撃的なモードがそのまま反映されたパフォーマンスだった。
2015年に発表されグラミーを受賞した「モーニング・フェイズ」は病気との向き合いをテーマにしたアルバムだった。回復の手応えと、でも逃れられない宿命としての病、それがまさに「モーニング・フェイズ」というイメージで表現された傑作だった。
その作品を経て、ベックは新しいフェイズに入った気がする。
これは僕の勝手な想像なのだが、ベックは病気を経験して自らのアーティストとしての役割を見つめなおしたのではないか。新曲や今回のライヴから感じられるのは、ベックはベックであることを引き受けたということだ。
ベックはベックらしくいることが一番かっこいい、それにベック自身が気付いたのだ。
アンコールの白のスーツがそれを象徴していた。極端に言えば、あれはベック自身のベックのコスプレだ。それをベックはやって見せた。最高だった。
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