現在発売中のロッキング・オン6月号では、ベックの来日ライブレポートを掲載しています。
以下、本記事の冒頭部分より。
文=粉川しの
約6年ぶり、ベック本人にとっても待ちに待った来日だったようで、MCではこんな話もしていた。「ずっと日本に来たかったんだよ。でも、2020年から2022年はコロナ禍で無理で、2023年にもチャンスはあったんだけど、結局叶わなかった。だからもう今年はとにかく、どうにかして日本に行こうって(笑)」と。
ステージに飾られた桜の枝花にも、美しい桜の季節に来日できたことに対する彼の純粋な喜びが感じられた。つまり、6年ぶりの来日公演がアコースティックセットとなったのは、アコースティックでやることが目的ではなく、あくまで一刻も早く日本に行くための、身軽な手段に過ぎなかったのだろう。だからこそ、今回のセットはアコースティックでありながらアコースティックの枠に留まらない、バラエティに富んだ内容だったのだと思うし、結果的にベックの本質に素手で触れるような、貴重な一夜となったのだ。
冒頭の“ウェイヴ”が身も蓋もなく言えば「カラオケ」だったように、アコギとピアノ、ブルースハープの弾き語りに加え、プリセット音源やサンプリングも駆使したセットは予想以上にカラフルだ。
一日2公演と異例のスケジュールのため、約70分と短いステージとなったが、短いながらも多くの曲を日本のファンに聴いてもらいたかったのだろう、1部と2部でセットリストを大きく変えており、筆者が観た1部は初期のローファイ作、『メロウ・ゴールド』と『ワン・フット・イン・ザ・グレイヴ』の曲が多く演奏されていた。MCでも同2作がリリース30周年であること、初来日からも30年であることをしきりに語っていたように、アニバーサリーを意識したセットだったと言えるかもしれない。
対する2部では、極上フォーク作『シー・チェンジ』と『モーニング・フェイズ』の曲がセットの中核を成していたようだ。(以下、本誌記事へ続く)
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