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現体制になって3作目となる本作『Friend Chord』は、2019年に逝去したwowakaの存在に改めて向き合うと同時に、ヒトリエの現在進行形の表現をダイレクトに刻み込んだ作品だ。そのことを端的に示しているのが、wowakaが遺したデモをもとにした“NOTOK(Album version)”のシノダのボーカルの素晴らしさ。さらにシューゲイザー直系のダウナーチューン“Quadrilateral Vase”(イガラシ)、ハウスミュージックのテイストを反映した打ち込みの曲(ゆーまお)、90年代~00年代前半のオルタナティブロックへの憧憬を見事に昇華した“おやすみなさい”(シノダ)など、3人のルーツミュージックや音楽的志向が色濃く反映されているのも本作の充実ぶりにつながっている。スリーピースバンドの特性を活かしたシンプルなアレンジメント、生々しいライブ感を想起させる演奏も、「今の自分たちの在り方を示したい」という意思の表れなのだろう。バンドの歴史を引き受けながら、さらなる地平を切り開く重要作だと思う。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より)
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