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    日経ライブレポート「サマーソニック 2016」

    ジャンルや世代を超えたアーティストをブッキングしながら、トータルでサマーソニックというフェスのキャラクターがいつも感じられるのが、このフェスの素晴らしいところだと思う。今年も和田アキ子からレディオヘッドまで多彩なアーティストが集結し、熱いライヴをくり広げた。

    新しい才能で僕が注目したのはキングとザ・チェインスモーカーズだ。キングは女性3人のソウル・ユニットで、プリンスやエリカ・バドゥなどの大物ミュージシャンが絶賛する新人。派手なダンスやバック・バンドはなく、ただ3人のヴォーカルとシンプルなキーボード・サウンドによってステージは展開される。しかしその絶妙なアンサンブル、深いメロディー・ライン、歌の力、どれもが圧倒的で、新しいソウル・ミュージックのスタイルが誕生した感動と驚きがあった。

    ザ・チェインスモーカーズはニューヨークの2人組EDMユニット。自撮りをテーマにした「セルフィー」のヒットで知られている。一発屋のイメージがあったが、実は広い音楽性と高い作曲能力を持った実力派であることがライヴで証明された。

    多くの人が今年のサマソニのハイライトとして期待したのがレディオヘッドのパフォーマンスだった。彼らはその期待に十分応える圧倒的なステージを展開した。最新アルバムの曲を中心にしながら、日本で13年ぶりの演奏となった「クリープ」の他、代表曲もしっかり聴かせてくれる、ファンには大満足の内容だった。どのステージを観たかによって印象が全く変わるフェスだが、そこが魅力のフェスだと今年も感じることができた。

    8月20~21日、QVCマリンフィールド、幕張メッセ。

    (2016年9月9日 日本経済新聞夕刊掲載)
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