当然のように素晴らしかったレディオヘッド、ザ・フー、NASといった超大物ではなく、この三つを選んだのは、それぞれが二〇〇八年の今しか観る事のできない、生々しい時代の切断面をライヴで観せてくれたからだ。「1」は、ラストに女装しながら歌ってくれた“ゲイ・メサイア”の切なさ、華やかさが未だに目に焼きついている。「2」は、ほとんどの音が過去に鳴らされてしまい、新しいロックが不可能と思える時代に、過去の引用と組み合わせ、そして批評によって全く新しい音が鳴る事を証明してみせた。そして「3」は、絶望と悲しみを歌い続けたこのバンドが、この暗い時代に挑戦するかのように希望を歌った事に強く心を動かされた。「1」ルーファス・ウェインライト(1月、東京国際フォーラム)
「2」アーケイド・ファイア(2月、新木場スタジオコースト)
「3」シガー・ロス(10月、東京国際フォーラム)(2008年12月25日 日本経済新聞夕刊掲載)
日経ライブレポート「今年の収穫」
2008.12.27 10:00