アルバムの中の数ヶ所でアルフレッド・ヒッチコックのナレーションが入る。そこでヒッチコックはこの作品が死のファンタジーを描いた作品であることを解説してみせる。
これは往年の傑作TVシリーズ「ヒッチコック劇場」で、いつもヒッチコックがやっていたスタイルだ。
つまりエミネムはこの演出により、新作アルバムが「ヒッチコック劇場」と同じような、死をテーマにしたファンタジーであることを聞き手に伝えているのだ。ヒッチコックの作品には、たくさんの殺人が登場する。しかしヒッチコックを殺人を肯定する映画監督と非難するのは、余り意味がないことを僕たちは知っている。
そしてヒッチコックが殺人を道徳的に描かず、ひとつのエンターテイメントとして描いていることも僕たちは当たり前のこととして受け入れている。
エミネムとヒッチコックは同じではないが、エミネムがこうした演出を通じて、自分の意図がどこにあるのかを伝えようとしていることは、しっかり理解されるべきだ。
明日の番組では、そのことも含めアルバムを紹介したい。
エミネムの新作にヒッチコックのナレーションが入っているのは何故なのか。そこを理解しないで批判するのはフェアでない。あのアルバムはエミネム版「ヒッチコック劇場」なのだ。
2020.03.14 21:19