パブリック・イメージ・リミテッド

今夜のジョン・ライドンも、もう当たり前のように怒っている。も、と書いたのは、ジョン・ライドンが怒っているのが、今に始まったことではないからだ。もう35年は怒り続けているのである。いや、どうかしたら、産まれた時から怒っていたのかもしれないのである。なのに、今夜のジョン・ライドンは、ちっとも怒ることに疲れている様子もなく、怒髪天をつく新鮮ないきおいで怒っているのである。それが、ロックをどれだけ破壊し、再構築し、タフにし、優れたものに叱咤してきたか。今夜のジョン・ライドンを目の前に、マウンテンを埋めたオーディエンスは腰を抜かすほどの衝撃で痛感したのではないか。だって、この音楽は凄いぜ。この怪鳥声は凄いぜ。ロックに回収されることなく、ロックを刷新し続けてきた男、ジョン・ライドン。いちばんかっこよかったのは、アンタかも。(宮嵜広司)