とにかくスタートからエンディングまでずっとクライマックスで、サビだけの歌が続いているような、まるでEDMフェスのような、圧巻の2時間強だった。
最初はシンプルで質実剛健だったバンドがいつの間にか超スケールの大エンタテインメント・ライブをやるという意味では、コールドプレイはまさしくU2に続く、あるいはその記録を更新しつつあるUKバンドかもしれない。ほとんど何の脈絡もなく計4回も客席に大量のカラフルな紙吹雪が噴射される、という「タガが外れた感」は、U2どころかテイラー・スウィフトのドーム公演をも超えていた。
でも、チェインスモーカーズとのコラボ曲「サムシング・ライク・ジス」を飛び跳ねながら歌っているクリス・マーティンを見ながら「この人、変わらないな」と思ったのも事実だ。
バラード・バンドと呼ばれていた頃の「イエロー」にも「イン・マイ・プレイス」にも、当時の他のUKバンドとは違うクリス独特のスケール感、壮大さがあった。(僕はそれを当時「大陸的なメロディー」と書き表していた)。
クリス・マーティンがもともと持っていたその壮大さ・スケール感が、エレクトロニックなサウンドやステージの演出によって肉体化/具象化されたのが今のコールドプレイの楽曲やライブなのだと思う。
実は本質は何も変わっていない。
その証として、コールドプレイのライブでステージ上にいるのは変わらぬ4人のメンバーだけである。
サポートメンバーやマニピュレーターの類は誰一人いない。
質実剛健なソングライティングを堅持しながら、そして4人のロック・バンドという形を堅持しながら、ここまで「ポップの時代」にアジャストすることに成功したコールドプレイを、僕は誰がなんと言おうと偉大なバンドだと思う。