ロッキング・オン・ジャパンでもエレファントカシマシ、細美武士、UVERworldなどの撮影で活躍していただいている巨匠・半沢克夫氏の新しい写真集『ハロー ダークネス』。あとがきを書かせてもらいました

ロッキング・オン・ジャパンでもエレファントカシマシ、細美武士、UVERworldなどの撮影で活躍していただいている巨匠・半沢克夫氏の新しい写真集『ハロー ダークネス』。あとがきを書かせてもらいました
ロッキング・オン・ジャパンでも創刊当時から現在まで数々の表紙巻頭ページの撮影をしていただいている巨匠・半沢克夫氏の、新しい写真集『ハロー ダークネス』のあとがきを書かせていただきました。
学生の頃から尊敬する人類学者・中沢新一氏と並んで掲載されていて、本が出来上がった今でも緊張しています。
許可を頂いて、転載します。

めちゃくちゃかっこいい写真集なので、ぜひ触れてほしいと思います。
http://www.superlabostoretokyo.com/2021/02/katsuohanzawa-hellodarkness/





この街にいながらこの街の外へ出る、この国にいながらこの国の外へ出る、それがハロウィーンだ。
そして、この世界にいながらこの世界の外へ出て、自分自身の肉体にいながら自身の肉体の外へ出る、それがハロウィーンだ。

こうして若者は(やや不完全な)アウトサイダーとなって街を歩き、アウトサイダー同士が膨大な出会いを繰り広げる。
それは壮観で、それこそが都市の本来的な姿であるとすら僕は思う。
映画や音楽はおろか、ネットですらこの世界からの脱出の手段になってはくれなくなった2010年代の東京で、ハロウィーンは急速に盛り上がった。
たった1日でも、この世界からの脱出の回路があることを実感するパーティーがあることは、この国の、東京の幸福である。ハッピーなリベンジのパーティーだ。

コスプレとメイクでこの世界から脱出した若者たちの活き活きとした目の輝きに感動する。
死神やゾンビやデビルの安っぽい淀んだ色のメイクの切れ間からこちらを見つめる彼らの目は、それがフェイクであってもカラコンであっても、リアルで綺麗だ。
世界から脱出した者同士、アウトサイダー同士、エイリアン同士、彼らはこの目でコンタクトを取り合う。

そして彼らは半沢克夫のカメラにもこの目を見せる。
半沢克夫がカメラ一つで世界を脱出する、ベテランのアウトサイダーであり、大先輩のエイリアンであることが、彼らはすぐにわかるからだ。

ハロウィーンを現象として、風俗として捉えた写真とは真逆にある、人間のコアに迫る究極の写真集だ。

山崎洋一郎



半沢克夫 写真集『ハロー ダークネス』あとがき
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