5年ぶりのサザン。
「勝手にシンドバッド」から新曲まで、圧倒され続けた3時間だった。
聞き慣れた曲ばかりなのに、改めて「ポップスとはこういうことか」と教えられることがありすぎて、それに圧倒されていた。でも会場にそんな堅苦しい空気は微塵もない。「サザンは楽しい」「サザンはかっこいい」というハッピーな空気だけが満ちている。そのことにまた、「すごいことだなぁ」と今さら改めて感動している自分がいた。
サザンの歌はせつない。でもどこか無責任で楽観的だ。失恋の歌でも別れの歌でも、でもなんとかなるさ、どうにかなるさ、所詮この世は男と女、みたいな無責任で楽観的な感覚が基本になっている。サザンの曲でせつなくなることはあっても、落ち込むことはない。
でもそれだけじゃないのがサザンだ。
聴いている時の「なんとかなるさ」という無責任で楽しい気分が、聴き終わる頃には「なんとかしよう」という前向きな気持ちになっている。「どうにかなるさ」という楽観的な気分が、曲が終わる頃には「どうにかしよう」という力に変わっている。
それは、曲の力によるものだ。
桑田佳祐のソングライティングがいかに優れているかなんて今さら語るのは野暮の骨頂だが、でもやはり今回のライブを観ていて最も感じたのはやはりそこだった。
ブルース、リズム・アンド・ブルース、ロックの本質をわしづかみに捉えた上での大衆ポップス、それは桑田佳祐のような破格の才能がなければできるものではない。
それを改めて見せつけたライブだった。