「負け犬」……。自分でなかなか言える言葉ではない。「GOOD」が付けられているから救われるが、一見しただけでは驚くタイトルだ。06年のインディーズプレデビューアルバムからパンクシーンの注目を集め続けてきたバンドに、一体何が起こったのか。もちろん、傍から見ていてとんとん拍子に思える歩みの中にも、いろんな葛藤があっただろう。サウンド面でも様々な方向性を見出そうともがいてもきただろう。でもそれはバンドの宿命でもあり、壁に立ち向かわなければ新しいものは何も生まれない。GLORY HILL、3年ぶりのアルバムとなった『GOOD LOSER』。聴いて安心し、むしろ誇らしく思えた。とことんメロディックで力強い曲調の中で、《視界は澄み渡っている　鳴り響いている》（“CLARITY”対訳）と高らかに歌い、《今ここにいる自分を信じ続けるんだ》（“Take My Word”対訳）と揺るぎ無い生き様を示してもいる。GLORY HILLは決して立ち止まらない。現実を正面から受け止める覚悟を持って、苦しみや哀しみや喜びといった全てを呑み込んだ末に吐き出された曲たちが、これまで以上に胸に熱く響く。（石井彩子）