変幻自在の男

ピエール中野『Chaotic Vibes Orchestra』
2014年08月13日発売
MINI ALBUM
凛として時雨でドラムを叩くだけでなく、他にもユニットを組み、GLAY、ももいろクローバーZなどゲスト参加も多い。ピエール中野初のソロ作品は、そんな彼の多面性を反映した内容になった。ミニアルバムだが、フルアルバム並みの要素がギュッと凝縮されている。

20名のドラマー+オーケストラの壮大な女性ヴォーカル曲。中野のインプロビゼーション・ユニット、カオティック・スピードキングにKYONOが客演した荒々しい曲。9mm Parabellum Bulletの滝善充、クラムボンのミト、大森靖子とともに人力でカヴァーしたPerfume“チョコレイト・ディスコ”。中野のドラムの音素材を牛尾憲輔(agraph)が再構築した静動静のエレガントなインスト。下ネタヒップホップユニットの玉筋クールJ太郎。全5曲。ドラマーとして高度なスキルをみせつつ、サブカル趣味も全開だ。ソロらしく自己主張する一方、20名の中のひとりになったり素材になるなど、自分に制約を与え、受け身にもなる。シリアスにもおバカにもなる。一つの方向に固まらない。このバランス感覚と柔軟性、機敏さは、凄い。(遠藤利明)