ずっと、ずっと、このサウンドと世界観に身も心も浸っていたい――そう思わせてやまない、グッドアンサンブルとグッドヴァイブスに溢れたデビュー作である。デビュー作とはいえ、みなさん周知のとおり、10年以上のキャリアを誇り、2013年にはインストバンドとしては初の日本武道館ワンマンという偉業まで成し遂げてしまったスペアザの新たなアートフォームがこれだ。6つの新曲に加えて、“BEN”“Wait for The Sun”などセルフカバー(大胆かつ清新なアレンジがグレイト!)も収録。マンドリン、グロッケン、ガットギターなど多彩なアコースティック楽器の音色が楽しい本作だが、ひとつ強調しておきたいのは、本家のサイドプロジェクトとして肩の力を抜いて作られたものではない、ということ。穏やかな陽だまりのような音像で聴き手を包み込む一方、ある場面では火花を散らすようなセッションも展開されるなど、気分だけではなく、しっかりと身体にも効く仕上がりなのだ。これまで以上にフットワーク軽く、最小限の機材と共に洞窟や神社でもライブを行うという4人にきっと出会ってほしい。(奥村明裕)