そんな絶対的な武器を抱えて弾き語りでライヴを行ってきた彼女が2011年に結成したバンドが大森靖子&THEピンクトカレフ。今作は、この名義で初のアルバム。
個人的には打ち込みのサウンドで絶望をドスの効いたポップに仕立てている楽曲より、バンドで激情を激情のままに歌ってもらったほうが絶望酔いしないし本人も歌っててバンドならではの快感があるのではと思っていた。
今作でも“hayatochiri”や“歌謡曲”など彼らの演奏があるからこそ伝わる楽曲が並ぶ。しかし残念ながら大森靖子&THEピンクトカレフは今作の発売を前に解散した。活動全てが事件みたいな大森靖子は、もっともっと先を見ている。誰かに起こりうる死にたくなるような絶望の為に。(上野三樹)