「女の子」を哲学するバンド

ふぇのたす『PS2015』
2015年03月11日発売
ALBUM
ふぇのたす PS2015
これまでに『2013ねん、なつ』『胸キュン’14』と2作をリリースしてきたエレクトロ・ポップ・トリオ、ふぇのたすの3作目となるミニアルバム。

女子が持つ《ふわふわ》《ふにゃふにゃ》感に注視しながら、「理論的な話が通らない」といった矛盾や理不尽の一面も引っ括めて、周到なステレオタイプを描き出す。キャッチーな作曲と歌詞はすべて男性メンバーのヤマモトショウによるもので、この女子像の捉え方こそがふぇのたすの重要な個性と言えるだろう。

女性ヴォーカリストのみこは、作品に込められたステレオタイプを丁寧に汲み上げ、“今夜が終わらない”でオマージュされているピチカート・ファイヴの野宮真貴のように、アイコニックな存在感を見せている。

ふぇのたすが伝える、可愛く厄介な女子像とは、「世界の一部を担って面白くしている」ものであり、それは彼らの音楽の価値そのものでもある。オリジナル音源“電子ドラムの達人”でゲーム『太鼓の達人』に参加したり、本作収録の“女の子入門”はこの2月に公開されている森川葵主演映画『おんなのこきらい』で使用されていたりと、浸透力も絶大だ。(小池宏和)
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