卒業アルバム

SAKEROCK『SAYONARA』
2015年04月08日発売
ALBUM
SAKEROCK SAYONARA
タイトルにズバリ掲げられている通り、SAKEROCKのラストアルバム。解散することと共に、脱退した田中馨と野村卓史を含めた、史上初のオリジナルメンバー5人によるアルバムを制作することを決断した彼ら。それは、ただ「メンバー全員で楽しく演奏する」ことがしたかったから。今作を聴いていると、その思いは見事に完遂されていて、解散も受け入れざるを得ない。

笑いながらも鼻の奥がツーンとしてしまう感覚は、卒業アルバムをめくる時に似ている。才能があって、キャラが濃くて、志が高いメンバーが集まっているのに、何故か堅苦しくならず、寧ろ自然に音楽とたわむれている様子が印象的だったバンド。

それはきっと、このメンバーだったからだろう。全員が、見事に積み上げたキャリアから離れて、インストバンドSAKEROCKの一員として向き合った今作は、彼らが奇跡の集合体だったと証明する輝きに満ちている。歌がないのにユーモアも毒も愛もビシビシ伝わってくる彼らの音楽は、本当に心地好かった。往生際の悪い私は、ついつい同窓会を待ち望んでしまうけれど、最高のさよならをありがとう。(高橋美穂)
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