星野源@東京キネマ倶楽部

星野源@東京キネマ倶楽部
星野源@東京キネマ倶楽部
星野源@東京キネマ倶楽部
アルバム・リリースのタイミングでの東京&大阪のライブは、7月にありましたが、今回のこの東京キネマ倶楽部は、基本的にそれとあんまり趣旨が変わらないワンマンでした。まあ、年末だから、とか、年内にもう1回ぐらいワンマンやっておきたいから、とか、ここ東京キネマ倶楽部ってSAKEROCKではよくやってるけどソロではまだだから、とか、そんなような、軽めな動機だと思います。
なので、セットリストも、7月の時と、曲順は違うけど曲目はだいたい一緒、みたいな感じでした。って、まだソロ1枚しか出していないし、SAKEROCKの曲とか足しても持ち曲の数、まだ知れてるから、だいたい一緒にならざるを得ないんですが。
以下、セットリストです。

1.歌を歌うときは
2.ばらばら
3.夜中唄
4.子供
5.キッチン
6.グー
7.茶碗
8.兄弟
9.穴を掘る
10.ただいま
11.老夫婦
12.ひらめき
13.変わらないまま
14.くせのうた

アンコール
15.インストバンドの唄
16.たいやき
17.日村さん38才の歌
18.せつないのうた
19.スーダラ節
20.選手
21.ばかのうた

ちなみに、7月の時のライブレポ&セットリストはこれ。→ http://ro69.jp/live/detail/37218

1曲目はひとりで登場、弾き語り。歌う前だったか、あとだったか、今日、ものすごい超満員で、それによって会場のビルのエレベーターが遅くなる、という事態が勃発し、入場が終わるのが遅れたことを、詫びておられました。確かに、私、開演5分前に着いたんだけど、まだ入場、終わってませんでした。でも、始まるの、20分も押さなかったけど。
2曲目“ばらばら”からバンドが登場。そのまま5曲目までやったあと、メンバー紹介。ベース伊賀航とドラム伊藤大地(SAKEROCK/グッドラックヘイワ)は前回のツアーと同じだけど、キーボードが野村卓史(元SAKEROCK/グッドラックヘイワ)から、曽我部恵一ランデヴーバンドなどあちこちで活動しているプレーヤー、横山裕章にチェンジしていました。白いワイシャツを着ていたせいで、「乳首が透けるんじゃ」と、星野くんにいじられてました。
なお、伊藤大地は、今朝大阪から戻ってくるスケジュールで、「ぷらっとこだま」というのに乗りたくて(JRってそういうプランがあって、グリーン車にすごく安く乗れるそうです)、自分で予約したんだけど、寝坊してしまい、そしてそのプランは乗車変更がきかず、自腹で東京まで戻ってくることになった、と、愚痴っておられました。
あと、伊賀航の紹介のされかたは、「とりあえず、大前提として、彼女募集中なんです。今日こそ、この会場で見つけましょうね」でした。あれ。なんか、そんなベーシスト、他にも知ってるな。そうだ。サニーデイ・サービスの田中貴だ。ライブのたびに「婚活中です」とか言われてる、曽我部に。そういえば、伊賀航は、曽我部恵一ランデヴーバンドのメンバーでもある。曽我部と活動するベーシストは、女性関係が充実していない。ということなんだろうか。違うと思います。ソカバンのケニーは結婚してるし。

話を戻します。お世話になっている舞台監督が亡くなってしまったんだけど、その亡くなる時間に、自分はこの曲を作っていたことを、あとで知って、歌詞がそっちの方向にひっぱられていってこんな曲になった――という前置きをして、“グー”を歌う。
次に“茶碗”をやったあと、続く“兄妹”の途中で、ペダル・スチールの高田漣が登場、バンドに加わり、そのまま12曲目まで一緒に演奏。そして9曲目終わりで、星野源と高田漣によるMC。ベッキーが大好きだったけどその熱はもうさめたとか、中学の頃から芳本美代子が好きだとか、こないだ藤井リナと同じ新幹線に乗り合わせて、うれしくて何度もトイレに行ってそのたびに見ていたら、しまいにはでかいサングラスをかけられてしまったとか、とても二世ミュージシャンとは思えないMCを、次々とくり出しておられました、高田さん。

で、そんな高田漣が去ったあと、“ひらめき”を歌い終わると、春頃にシングルを出すことになりました、と告知。「……買ってくれっ!」と言い放つ。このシングルが売れないご時勢に、あえて出すという姿勢をくんでほしい、とのことです。今出ているロッキング・オン・ジャパンの表4で始めて情報を出した、とも言ってました。ちなみにその表4には、「来年春頃にファーストシングル発売予定」という一文と、1曲目にやった“歌を歌うときは(仮)”の歌詞が載っています。なので、普通に考えるとこの曲がシングルなんだろうな、と思うところだけど、ただ、そのシングルがこの曲である、ということはどこにも書かれていない。どうなんだろう。
で、今からやるのは新曲だけど、そのシングルには入らない曲である、いつかアルバムに入るだろうけど何にも決まっていないし、なのでしばらくライブでもやらないと思う、という紹介をして、新曲“変わらないまま”を披露。タイトルにモロに表れている通り、もう見事に星野節が炸裂した、いい曲でした。

そして14曲目の前に、「早いもんで、次で最後の曲です」と言うと、客席から「えー、短いー」という声が飛んだんだけど、星野、間髪入れず、「な! 俺も思う!」と返す。で、ここから説明を始めたんだけど、そう、星野くんの曲ってどれも短いのです。アルバムも、15曲入っているのに、トータルは50分に満たないような感じなのです。さっきから、MCのたびにゆるゆるだらだらとしゃべっているのも、サクサク曲をやるとあっという間にライブが終わってしまう、という理由だと思う。
で、「アンコールありますから、長くやりますから」と言ったあと、「俺、革命を起こそうと思って」という話をする星野源。どういう革命か。「アンコールあるって最初に言う革命」だそうです。アンコールあるってみんなわかってるのに、いったんひっこんで、その間手拍子をしながら待ってもらっているのが、いつも心苦しいと。なのでSAKEROCKの時は、すぐ出てくるんだけど、今日は楽器のチューニングとかあってそういうわけにもいかないと。なので、みなさん、手を叩かないでいいです! 手を叩かなくても、アンコールやりますから。ただボーッと待ってるとか、この間に物販でも見るとか、していてください。
と宣言して、星野くん、バンドと共にひっこみました。お客さん、数人はそれでも手拍子してましたが、それ以外の大多数はほんとに手拍子せず、ただ立ったままザワザワとしゃべりながら再登場を待つ、という、「何これ? 立食の結婚パーティーの『しばしご歓談を』って時間?」みたいな、ヘンな状態になりました、東京キネマ倶楽部が。笑いました。

で、しばしご歓談のあと、星野ひとりで再登場。「乾燥肌になっちゃってパンツのゴムのところがかゆい、治すいい方法知りませんか?」とお客さんにきいたりしながら、弾き語りで次々と歌っていく。SAKEROCKの“インストバンドのうた”、イースタンユース吉野寿と作った“たいやき”、バナナマン日村のために作った“日村さん38才の歌”。超満員の会場、爆笑。どんな歌かはこちらをご参照ください。→ http://ro69.jp/blog/hyogo/37257
で、それを歌い終わったら、客席から「今日、僕誕生日ですー!」という声が。星野「……この野郎!」と返しつつ、彼の歳と名前をきいて、“じゅんぺいくん24才の歌”にリアレンジ、歌う。場内、さらに大ウケ。これ、7月のクアトロでもやってました。
あ、この“日村さん38才の歌”のこと、twitterで書くの禁止! って言ってたな。みんなおもしろがって、あとネタとして書きやすいので、そればっかり書く傾向があるそうです。いいのかな、書いて。いいよね、これtwitterじゃないし。

で、ここで、次に歌うの、何にしようか、歌詞の書かれたノートをめくりながら、悩み始める。客席から「サッちゃん!」「女教師!」(どっちも大人計画の舞台のために作った曲です)などと声がとぶが、ためしに歌ってみようとしたりするも、「……できません」。
と、「ニャンちゅう!」と声がとび、「あ、それならできる!」と、去年、NHK教育の子供番組『ニャンちゅう』のために書いた、そして後日SAKEROCKで出演してニャンちゅうと一緒に歌ったりもした、“せつないのうた”を歌う。
続いては……これ、正しくは植木等名義だっけ、クレージーキャッツとしてだっけ……と、調べたら正しくは「ハナ肇とクレージーキャッツ」でしたが、その1961年の大ヒット曲“スーダラ節”。後半、「みんな一緒に歌おう」と、シンガロングをうながしてました。
そして、SAKEROCKの“選手”を歌い、バンドが戻ってきて、最後に全員で“ばかのうた”をやって、終わりました。全21曲、始まったのが19:50ちょっと前くらいで、終わったのが21:46、でした。

そのほか、こないだの『DE LA FANTASIA』に出た時の話をしたり(ライブレポはこちら → http://ro69.jp/live/detail/43236)、12月8日に出るSAKEROCKのニューアルバム『MUDA』の告知と、そのタイトルの解説をしたり、中学の時は自分の「バームクーヘン食べたあとみたい」「水分がない」声が嫌いで、B’zみたいになりたかった、という話から、いかにB’zがすごいかということを力説したり、最後に伊藤大地に年末の予定をきいて、「COUNTDOWN JAPANだよ。このメンバー全員そうじゃん。その次の日もSAKEROCKで出るし」とあきれられたりしてました、星野源。

という、基本的に、ゆるく、楽しく、そしてあったかくてやさしくて心地いい時間を提供してくれたライブだったんだけど、彼の歌はいつも、それとある種正反対なものを、同時に孕んでいる。いや、メロディは正反対じゃないか。歌詞だな。
人はひとりであること。あなたは私とは違うこと。わかりあえないこと。孤独であること。家族がいたって死ぬ時はひとりであること。たとえわかりあえた気分になったり、幸せを感じたりすることがあったとしても、それは一瞬のものであり、必ず終わるものであること。などが、あの、上記のような「あったかい」「やさしい」方面の声とメロディと演奏によって、次々と目の前に並べられていくのが、星野源のライブです。と、僕は思っているんだけど、この夜も本当にそうだった。
向き合わなくてはならないけど、向き合うとしんどいから避けていたり、あと回しにしていたりするものを、つきつけられ続ける2時間。ということを、こういう音楽性でもってやっている、というのが、本当にいいなあ、才能あるなあ、と、いつも思います。(兵庫慎司)
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