八王子発の4人組による1stミニアルバムは、バンドの旅立ちを告げる決意漲る作品に仕上がっている。「よごれた地図」というバンド名には、宝のありかが分からなくても探し続けるという意味が込めているそうだ。闇の中に光りを、切なさの中に明るさを見つけるべく、出口を懸命に模索する灰色のサウンド。不安と背中合わせで猛ダッシュする音色に耳を傾けると、やがて澄んだ空色に見えてくるから不思議だ。繊細かつ丁寧に歌い上げるヴォーカルの蒼さといい、ツインギターが織り成す重みを備えたサウンドの透明度といい、研磨される前の原石のごとき輝きを放つエモーショナル／ギターロックバンドの確かな第一歩作。ジワジワと心に沁み、いつの間にか気持ちは晴れ渡ってくる。（荒金良介）
