フージーズが蒔いた種

R.シティ『ホワット・ドリームズ・アー・メイド・オブ』
発売中
ALBUM
エイコンを始め、リアーナ、ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、イギー・アゼリアらのヒット曲を手がけてきた名うてのソングライター兄弟デュオ、R.シティの念願のファースト。もともと契約していたエイコンのレーベルとこじれたため、7年越しの労作となったが、カリブ海のヴァージン諸島出身のアーティストとしての生い立ちをレゲエとヒップホップとR&Bで綴るという、どこまでもパーソナルな物語とメジャー感満載な音による作品になっている。そのいい例が、自分がまた貧乏になってしまっても一緒にいてくれるのかと相手に問いかける“ロックト・アウェイ”で、超キャッチーなレゲエ・チューンに仕上げた上にアダム・レヴィーンも共演するという、自分たちの心情と売れっ子プロデューサーとしての意気込みががっつり組み合わさった内容になっている。また、成功への強い決意を語る“オーヴァー”などはレニー・クラヴィッツをネタにしているところが冴えていて時代も感じて感傷を誘う。でも、圧巻なのはフージーズに憧れてこの道に入ったことを綴る大作“アワ・ストーリー”でワイクリフ以来の感動を誘う。(高見展)