脚光を浴びたデビュー作から4年、ダイヴ待望の2枚目『イズ・ザ・イズ・アー』が遂に完成した！　なんとザッカリー・コール・スミスは300曲も作ったというから驚きだが、思えばこの4年、ヘロイン所持で逮捕され、リハビリ、スカイ・フェレイラとの恋愛、サンローラン パリのモデルを務めたり、メンバーの差別発言問題など、彼は人生最大の激動を経験したはず。だからこそ、その波をいかに乗り越えたのかを音楽だけで回答してやるという正しく固い決意があったのだと思う。結果、その成長ぶりを見せつける渾身作となった。波が淀む瞬間もあれば、晴れ間が見える瞬間もあり、しかしその視線はいつだって波の果てを見続けている。乗り切ってやろうという決意がある。制作途中には「完成するまで死ねない」と語り、「ヘロインの深い眠りに埋められ」など歌詞にはカオス体験が刻まれているが、戸惑うくらいそのサウンドの響きは新鮮だし、時に軽やかですらあり、その成長ぶりは凄まじい。メロディの強靭さはそのままで、ギターの掛け合いが生み出すポップさもダークさも絶妙。17曲もあるのかと最初は面食らうが、永遠に聴き続けたいアルバムが完成。（中村明美）