うわあ、これは最高だ。UK出身のビート・プロデューサー(現在はベルリンを拠点にしているらしい)であるゴールド・パンダの新作である。Ghostly Internationalから3作のアルバムをリリースしてハズレなし。というか、ハンドメイド感たっぷりのビート・プロダクションといい、湿り気のあるサウンドやメロディといい、僕のようなベタな日本人の感性と嵌りやすいアーティストなのかもしれない。前作『ハーフ・オブ・ホェア・ユー・リヴ』で楽曲の構築ぶりはピークに達した印象があったが、本作では大胆な方向転換を見せていて、日本のトラディショナルな音楽を取り入れている。それがゴールド・パンダらしい生の躍動感を持ったガレージとポリリズムを形成し、何ともストレンジだが美しい風景を描き出しているのだ。彼は若い頃に日本で暮らしていた時期があり、またアーティストとしての来日経験も踏まえて、今回のアイディアを導き出したという。アルバム・タイトルは広島でタクシーの運転手に掛けられたという言葉。リード曲のひとつ“タイム・イーター”は、3月7日に英ガーディアン誌の週間ベスト曲に選出されている。(小池宏和)