革命が始まる
ZACK DE LA ROCHA『DIGGING FOR WINDOWS』
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「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとは政治活動だ」と言っていた張本人なので、世界が日に日に狂っていると思える中で、ザック・デ・ラ・ロッチャが反抗の音楽を鳴らしていないことに史上最高のフラストレーションを抱えていたファンは多かったはずだ。とりわけ、ラン・ザ・ジュエルズとの共演で、あの鋭いパフォーマンスが健在なことを見せつけていたから。しかし! そのジェエルズのエル・Pと組んでようやく新曲を発表してくれた。アルバムも17年に発表だという。ワン・デイ・アズ・ア・ライオンでは、トム・モレロのギターがどこからか聴こえてきそうな瞬間があったが、ここでは完全に新サウンドを手に入れている。しかもザックは、再び衝動的かつ知的で当然思いきり政治的なラップで社会を突き刺す。腐敗し崩壊した警察、企業、政治システムのせいでドラッグ・ディーラーになる主人公が登場。「1日中が暗闇」の生活を歌っているのだ。しかし罠に陥る自分の抱えた反発精神と怒りは、死刑に値するくらいだ。だから俺を殺してみろというのだ。体内の血が一瞬にして騒ぐザックのヴォーカルに、革命の声が帰ってきたことを実感。(中村明美)