【JAPAN最新号】宮本浩次、この男と同じ時代を生きる喜びを噛みしめて──歌の深淵を覗いた59歳のバースデーコンサート「最高の日、最高の時」レポート!

【JAPAN最新号】宮本浩次、この男と同じ時代を生きる喜びを噛みしめて──歌の深淵を覗いた59歳のバースデーコンサート「最高の日、最高の時」レポート!
最高の日、最高の時。コンサートがすべて終わった時、この夜のタイトルとして掲げられたこの言葉がピッタリと似合う夜だったことに思い至って、胸がいっぱいになった。シンプルな言葉に命を宿すことは時にとても難しいが、宮本浩次は「最高の日、最高の時」という、とてもシンプルな言葉の羅列に、その歌で命を宿してみせたのだ。誇張でもなんでもなく、この世界に「歌」というものが存在することに感謝したくなるほどの夜だった。日本最高峰のシンガーによる、圧巻のステージ。毎年恒例となっている、宮本浩次のソロバースデーコンサート。それは59歳の誕生日を祝う今年も、誕生日当日である6月12日、会場は神奈川・ぴあアリーナMMで開催された。

この夜、宮本浩次は完全に空間を支配していた。圧迫的な緊張感による支配ではない。宮本浩次の、その類まれな魅力による支配。その場に居合わせた僕らはそれに身を預けて、浸った。ステージ上の宮本は機知に富んでいて、品があり、それでいて激しくパワフルで……路上を濡らす雨のような深く切ない生きることの悲しみと、燦々と照りつける太陽のようにおおらかな喜び、それに僕らの人生を優しく抱きしめるような力強さが、その歌を通して伝わってきた。コンサートは二部+アンコールの構成で、披露されたのは全26曲。曲と曲の間にも、ただならぬ空気が流れていた。僕らは宮本の歌に深く深く感動して、そして一瞬たりとも彼の歌を、そして彼とともに演奏するバンドの素晴らしい演奏を、聴き逃すまいとしていたのだ。あわいも音楽に満ちた空間だった。静寂すら音楽だった。空間全体が宮本浩次の歌だった、と言っていい。宮本の歌は差し伸べられるあたたかな手のようで、僕らはその大きくて繊細な手を、それぞれの席で握り返した。(以下、本誌記事に続く)

文=天野史彬
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より抜粋)


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